突き詰めれば699kg ポルシェ912C カーム・フルカーボン 空冷4気筒はスバル似の響き

公開 : 2025.09.18 19:05

カーボン化を突き詰めれば699kgへ仕上がる、カーム社のレストモッド912 高級感へうっとりする車内 高いボディのフィット感 勇ましい響きを放つ空冷4気筒 加速は抜群 UK編集部が試乗

カーボン化を突き詰めれば699kg

カーム社がレストモッドを手掛けた、ポルシェ912 Cの提供が始まる。筆者が数年前に試乗したのは、試作車だった。

モデル名の「C」はカーボンファイバーの略で、車重は仕様次第で699kgに仕上がるとか。お値段は、どこまでカーボンを利用するかで変わる。突き詰めると、英国では34万ポンド(約6732万円)になるという。クーペだけでなく、タルガも指定できる。

ポルシェ912C カーム・フルカーボン(欧州仕様)
ポルシェ912C カーム・フルカーボン(欧州仕様)

同社はハンガリーに拠点を置き、空冷の水平対向4気筒エンジンを積んだ912へ特化した、レストモッド・ガレージ。創業者のミキ・カズマー氏は、走りへひたむき。ロックトゥロック1.7回転という、超クイックなステアリングレシオを試作車へ与えたほど。

従業員14名という小さな規模だが、カーボン製部品の設計から製造、エンジンのチューニング、電装系の開発、ボディの塗装まで、一貫した体制を築いている。ベース車両は1965年から1968年に作られているから、サビの処理も想定の範囲だという。

高級感へうっとり 高いボディのフィット感

今回試乗した912 Cはデモカーで、ボディシェル以外、フェンダーやドア、ルーフに至るまでカーボン製。エンジンは2.0Lの水平対向4気筒で、チューニングにより最高出力184psと最大トルク24.8kg-mを得ている。希望すれば、6気筒も選べるらしい。

車内の高級感へうっとりする。レザーは張り直され、新しいステレオが組まれている。ヒーターも備わり、このデモカーの車重は770kgある。シンプルなコクピットは心地良く、ピラーが細く開放的だ。

ポルシェ912C カーム・フルカーボン(欧州仕様)
ポルシェ912C カーム・フルカーボン(欧州仕様)

ペダルはAPレーシング社製で、バケットシートのサポート性に不満なし。ステアリングホイールのディッシュの深さは、希望に応じて調整可能。1速が斜め上のドッグレッグパターンを操る、シフトレバーが手元へ伸びる。

ボディのフィット感も相当に高い。カーボンの織り目が露出し、他のレストモッド・モデルへ負けないほど美しい。風切り音を抑えるため、993型911のドアフレームとクロージャーが用いられている。実は、外形は同じなのだ。Aピラーの形状も変えてある。

勇ましい響きの空冷4気筒 加速は抜群

ドアは頼もしい音で閉まる。シャシーは補強され、ロールケージなしでも剛性は上昇しているという。カーボン製ボディパネル自体の強度も高い。

乗り心地は素晴らしい。ダンパーはトラクティブ社製で、5段階に調整できる。エンジンとエグゾーストは、スイッチひとつでスポーツ・モードへ切り替えられる。

ポルシェ912C カーム・フルカーボン(欧州仕様)
ポルシェ912C カーム・フルカーボン(欧州仕様)

普段使いが不可能なわけではないが、ドライバーへの要求度は高い。アイドリング時でも、ノイズはかなりのもの。フォルクスワーゲンビートルっぽいが。走り始めると、スバルのボクサーユニットのような勇ましい響きへ変わる。決して、穏やかではない。

エンジンはすこぶるパワフルで、ストレートでの加速は抜群。スポーツ・モード時は、レスポンスが一層鋭い。3枚のペダルは、重すぎず丁度いい踏み心地だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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