イタルデザインの傑作デザイン 50選(中編) 時代に合わせて変化する「革新」の概念

公開 : 2025.09.23 11:25

伝説的デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインは、これまで数多くの名車とコンセプトカーを世に送り出してきました。今回は、その中でも特に画期的な作品を50台ピックアップして紹介します。

フィアット・パンダ(1980年)

126と127の中間に位置するフィアット・パンダは、可能な限り低価格で実用的なファミリーカーを目指した意欲的なモデルであった。使い勝手を重視しつつ快適性も確保するため、コスト削減の目的で全面にフラットガラスを採用。後部座席は簡単に取り外し可能で、初期モデルではシート、ダッシュボード、ドアトリムに洗濯可能なカバーが装備されていた。2003年に生産終了するまでに、初代パンダはなんと450万台も販売された。

フィアット・パンダ(1980年)
フィアット・パンダ(1980年)

デロリアンDMC-12(1981年)

偉大な可能性を秘めながら失敗に終わったプロジェクトと言えば、デロリアンが筆頭に挙げられる。1974年にプロジェクトが始動し、1981年に発売されたが、1982年末には生産終了。総生産台数はわずか8583台だった。DMC-12はステンレス鋼パネルを採用し、2849cc V6エンジンを搭載。5速マニュアルまたは3速オートマチック・トランスミッションが組み合わされた。

デロリアンDMC-12(1981年)
デロリアンDMC-12(1981年)

カプスラ(1982年)

これはイタルデザインで最も革新的な作品の1つと言える。全長わずか3720mmながら、メルセデス・ベンツSクラスを上回る車内空間を実現した。カプスラの設計はバスから着想を得ており、標準シャシーにさまざまなボディシェルを載せることができた。ピックアップトラック、ハッチバック、タクシー、ミニバン、救急車など、あらゆる形態に変身できたのだ。

カプスラ(1982年)
カプスラ(1982年)

オルカ(1982年)

今見ると特別に思えないかもしれないが、1982年当時としては非常に滑らかで、驚くほど未来的なデザインだった。空力効率と車内空間の完璧なバランスを追求したオルカは、ランチア・デルタ1.6HFターボ4WDのプラットフォームをベースに開発された。オルカは前後両方にブレーキランプを装備していたが、このような設計は世間には普及しなかった。

オルカ(1982年)
オルカ(1982年)

ガビアーノ(1983年)

非常に洗練された小型ハッチバックデザインだが、ガビアーノのようなクルマが実際に量産されなかったのは残念だ。イタリア語で「カモメ」を意味する車名の通り、ガルウィングドアを備えていた。ルノー11をベースにしたガビアーノは、イタルデザインとルノーの長期にわたる協力関係の始まりを告げるものだった。

ガビアーノ(1983年)
ガビアーノ(1983年)

ヒョンデ・ステラ(1983年)

1980年代初頭の登場当時、ステラのデザインは決して革新的とは言えなかったが、それまでポニーしか生産してこなかったヒョンデが、高級車市場への進出を目指していることを世界にアピールするものであった。アウディ80に着想を得たステラは、後輪駆動と3ボックスデザインを採用した実用本位のクルマだった。高級車としての仕上がりは発展途上だったが、ヒョンデを成長へと導いたことは間違いない。今日、ヒョンデは兄弟会社のキアとともに、販売台数で世界第3位の自動車メーカーとなっている。

ヒョンデ・ステラ(1983年)
ヒョンデ・ステラ(1983年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

イタルデザインの傑作デザイン50選の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事