イタルデザインの傑作デザイン 50選(中編) 時代に合わせて変化する「革新」の概念

公開 : 2025.09.23 11:25

アズテック、アスピッド、アスガルド(1988年)

創立20周年を記念し、イタルデザインは最高出力200psのアウディ製2.3Lターボチャージャー付き5気筒ガソリンエンジンを搭載した3台のコンセプトカーを発表した。ウエストラインまでは共通デザインだが、ミニバンのアスガルドは、オープントップのアズテックとクーペのアスピッドより300mm長い。アズテックは限定生産され、諸説あるが12台から18台が生産されたと言われている。

アズテック、アスピッド、アスガルド(1988年)
アズテック、アスピッド、アスガルド(1988年)

ID90(1990年)

EB110より1年先行する形で登場したID90は、ブガッティよりもはるかに調和の取れたデザインだった。イタルデザインが生んだ数あるブガッティのコンセプトカーの先駆けであり、おそらく最も魅力的なモデルだ。全長わずか4.1mというコンパクトなボディながら、EB110と同等のクワッドターボ3.5L V12エンジンと四輪駆動システムを搭載していた。

ID90(1990年)
ID90(1990年)

ケンジントン(1990年)

1990年のジュネーブ・モーターショーで初公開されたときは不動の状態だったが、同年後半に開催されたバーミンガム・モーターショーではジャガーの5.3L V12エンジンを搭載し走行可能となっていた。ケンジントンは、1980年代に停滞していたジャガーのデザインをリフレッシュさせるべく、イタルデザインが生み出したコンセプトカーだ。XJ40の後継として提案されたが、結果的に発売されたのは従来路線を維持したX300だった。ジャガーにとって本当の革新と呼べるクルマは、2009年登場のX351まで待たねばならない。

ケンジントン(1990年)
ケンジントン(1990年)

ナツカ(1991年)

1991年に公道仕様のM12として発表された当初は、最高出力300psのBMW製5.0L V12を搭載していたが、翌年にはナツカとしてC2レーサーへと進化した。これにより出力は350psに上昇し、重量は100kg削減された。さらにトレッド幅が拡大され、よりハードコアなウィングやスポイラーも装備された。1996年のイタリア映画『A spasso nel tempo』を観たことがあるなら(いやいや、観た人なんているだろうか?)、ナツカがマキモトやアズテックとともに活躍する姿をご覧になったはずだ。

ナツカ(1991年)
ナツカ(1991年)

レクサスGS300(1991年)

この記事で紹介する数少ない量産車の1つ、初代レクサスGS300(日本ではトヨタアリストとして販売)もまた、イタルデザインの手による作品だった。アリストは1991年に登場したが、輸出版のGS300の登場はその2年後だった。3.0L直列6気筒エンジンを搭載しており、イタルデザインはLS400とSC400の要素を融合させ、日本車の中でも特に欧州車らしい洗練されたスタイルを実現した。

(翻訳者注:この記事は「後編」へと続きます。)

レクサスGS300(1991年)
レクサスGS300(1991年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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