イタルデザインの傑作デザイン 50選(中編) 時代に合わせて変化する「革新」の概念

公開 : 2025.09.23 11:25

フィアット・ウーノ(1983年)

ウーノは1983年から2014年までに約900万台が生産された、ベストセラー車の1つだ。開発コンセプトは、3ドアまたは5ドアの低価格ファミリーハッチバックというものだった。旧式化した127の後継として位置づけられ、さまざまな小排気量エンジンを搭載した。今ではほとんど忘れられているが、ウーノは1984年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

フィアット・ウーノ(1983年)
フィアット・ウーノ(1983年)

ロータス・エトナ(1984年)

登場から時間が経ったエスプリの代わりとして、最高出力340psの4.0L V8エンジンを搭載したまったく新しいウェッジシェイプのスーパーカーが計画された。エスプリより長く、やや丸みを帯び、実用性を高め、段差の少ないフラッシュガラスを採用した非常にモダンなエトナだったが、計画は頓挫した。代わりに、エスプリの改良型が登場した。

ロータス・エトナ(1984年)
ロータス・エトナ(1984年)

トゥゲザー(1984年)

メガガンマより成熟した印象のトゥゲザーは、ルノー・エスパスと同じ年に登場したミニバンである。回転式フロントシート、フラッシュガラス、車内は2列または3列シートを選択可能で、全長はわずか4mだった。

トゥゲザー(1984年)
トゥゲザー(1984年)

マキモト(1986年)

コンセプトカーがなぜ量産化されないのか、不思議に思うこともしばしばあるが、このマキモトに限ってはそうではない。むしろ、このアイデアを思いついた時、一体何を吸っていたのかと不思議に思う。マキモトはバルケッタとオートバイを融合させたもので、乗員(最大9名)は長いオートバイ用サドルに座るという仕様だった。エンジンは139psのゴルフGTiの1.8Tを流用した。

マキモト(1986年)
マキモト(1986年)

インカス(1986年)

4人乗り、4ドア(うち2ドアはガルウィング)、ミドシップエンジンという仕様を見れば、インカスのようなクルマが量産化されなかった理由は簡単に理解できる。今から30年以上前に発表されたインカスだが、ガラス張りのデザインと流線形のラインは今なお未来的な印象を受ける。ランチア・テーマ(同じくイタルデザイン設計)と同等の居住空間を持ち、4席の広々としたシートを備えていた。パワーユニットはオールズモビル製の2260ccターボチャージャー付き4気筒エンジンで、最高出力は230psであった。

インカス(1986年)
インカス(1986年)

オービット(1986年)

よく見ると、オービットの下部はマキモトと共通だとわかる。しかし、進化の過程で、荒唐無稽なものから崇高なものへと大きく姿を変えている。1980年代のイタルデザインはモノボックスデザインとフラッシュグレージングに執着しており、オービットはこれらを効果的に活用している。正直なところ、今でもこのクルマに乗っているところを想像すると楽しい。

オービット(1986年)
オービット(1986年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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