【現役デザイナーの眼:フェラーリ849テスタロッサ】全体として一体感に欠けるも、レトロと現代性を融合させた新たな試み
公開 : 2025.09.25 12:05
デザイン全体の評価と課題
このように『テスタロッサ』という名を冠しながらも、849テスタロッサのデザインは過去の複数モデルからインスピレーションを受けた混合的な構成になっていますが、そのせいかやや複雑な印象もあります。
一方で1984年に登場したテスタロッサは、非常に明快で特徴的なデザインでした。プランビューで前から後ろにつれてだんだん幅が広くなるような台形のシルエットは、当時でも全く見られないくらいオリジナリティが高いもので、後に他のスーパースポーツカーにも影響を与えたデザインでした。

クルマに限らずですが、デザインの魅力の本質は『明快さ』にあるとよく言われ、基本的なシルエットや立体構成が一目で意図が伝わることが優れたデザインの条件です。しかし今回の849テスタロッサを眺めるとどうしても部分ごとに処理された印象が残り、全体としての一体感に欠ける面があります。
例えば、サイドのエアインテークに配された縦の黒帯がなくなればデザインの連続性や統一感はさらに高まるかもなど、実車を見ながら色々考えてしまいました。
とはいえ、各種要件が厳しいながらもレトロと現代性を融合させた新たな試みであることは間違いなく、しかもそれを『フェラーリ』という頂点のブランドが挑戦している点にこそ、大きな意味と存在感があると言えるでしょう。






































































































































