新型ホンダ・プレリュードの開発主査に雪上で詰め寄った話【不定期連載:大谷達也のどこにも書いていない話 #1】

公開 : 2025.10.21 11:45

プレリュードの本質的な価値とは

しかしその後、伊豆のサイクルスポーツセンターで体験した新型プレリュードは、刺激的な走りというよりも、もっと洗練されていて奥深い喜びを私に与えてくれた。

鷹栖で乗った時は滑りやすい雪上での試乗だったせいか、それとも初体験のS+シフトに感動したせいか、必要以上に興奮していたために『刺激的な走り』と判断してしまったが、ドライコンディションで乗ったプレリュードは、それよりもはるかに大人しく、しかし上質で懐の深いハンドリングを示してくれたのである。

奥深い走りと完成度の高いデザインがどこまで受け入れられるかで商業的な成否は決まる。
奥深い走りと完成度の高いデザインがどこまで受け入れられるかで商業的な成否は決まる。    本田技研工業

だから、今はあの上質なデザインとハンドリングはよくマッチしていると思う。山上さん、その節は失礼なことを申し上げてすみませんでした。

いずれにせよ、その奥深い走りと完成度の高いデザインがどこまで受け入れられるかで、新型プレリュードの商業的な成否は決まるだろう。プレリュードの本質的な価値が広く認められ、ホンダの技術陣、そしてデザインチームの苦労が報われることを願ってやまない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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