【レクサス・スポーツ・コンセプト】新型スーパーカーに搭載?2028年までに全固体電池を量産EVへ #JMS2025

公開 : 2025.10.30 17:45

トヨタは2027または2028年に全固体電池を量産車に採用するという計画を進めています。「高出力でコンパクト、長距離走行が可能」とされ、レクサスの新型スーパーカーに搭載される可能性があります。

レクサスのスーパーカーに搭載?

トヨタは、2028年までに量産車に全固体電池(SSB)を搭載する計画を進めており、最初に高性能EVを投入する見込みだ。

全固体電池は長年、EV開発における次のステップと考えられてきた。現在EVで広く使われている液体リチウムイオンバッテリーよりはるかにエネルギー密度が高いため、重量とサイズを大幅に削減しつつ性能を向上させるポテンシャルを秘めている。

レクサス・スポーツ・コンセプト
レクサス・スポーツ・コンセプト    上野和秀

トヨタは約10年前に全固体電池の量産化計画を発表し、最近では試作品を公開している。量産車では最大約1200kmの航続距離を実現するという。

トヨタのカーボンニュートラル先行開発センターを率いる海田啓司センター長は、ジャパンモビリティショー2025で計画の進捗を発表し、実用性と耐久性が大幅に向上することから全固体電池技術は「将来においても非常に重要」な位置づけだと述べた。

さらに、2027年または2028年に量産車に搭載するという「スケジュールを順守」しており、商用車への応用も検討中だとした。

トヨタによると、全固体電池は現行世代のバッテリーの2倍の出力、3倍の航続距離、4倍の耐久性を実現可能だという。これらの特性を考慮しながら搭載車種を決める。

「全固体電池の特徴は高出力、コンパクト、長い航続距離です。車両ではこれらの特性を活かします」と海田氏は述べた。

この方針に基づけば、全固体電池を最初に搭載するのはレクサスの新型スーパーカーとなる可能性が高い。LFAの後継車で、V8エンジン搭載のトヨタGRスーパーカーのEV車版となる見込みだ。その低車高のシルエットとハイパフォーマンスを実現するためには、全固体電池が最適と言えるだろう。

ジャパンモビリティショー2025では、『レクサス・スポーツ・コンセプト』として展示されている。

海田氏は、搭載予定の車種について問われると、「レクサスかトヨタかは、皆さんの想像にお任せします」とだけ答えた。

バッテリーの長寿命化にも貢献

トヨタが全固体電池の開発に力を入れるもう1つの理由として、EVの環境負荷低減が挙げられる。

「カーボンフットプリントの削減に努めていきます。その鍵は材料の製造過程におけるCO2排出量の削減ですが、最も重要なのは寿命の長いバッテリーを生産することです」と海田氏は語った。

トヨタ・カローラ・コンセプト
トヨタ・カローラ・コンセプト    上野和秀

全固体電池が従来型バッテリーよりも4倍長く使用できれば、理論上、使用サイクル全体のカーボンフットプリントは75%削減されることになる。海田氏は「バッテリー寿命の延長を常に念頭に置いています」としている。

トヨタの最高技術責任者(CTO)である中嶋裕樹氏は、「技術的には」全固体電池をトヨタの現行EVプラットフォームに搭載することもできると述べた。搭載スペースを半減しながら同等の航続距離を実現できるとのことだが、全固体電池は主に新開発の専用プラットフォームでの使用を想定している。

既存のプラットフォームやより低価格の車種向けとしては、低背型の液体リチウムイオンバッテリーの開発を進めている。バッテリー全体の高さを抑えることで、広い車内空間と低いルーフラインを実現できる。洗練された低重心デザインのカローラ・コンセプトがその実例だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 撮影

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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