EV界にはホンダN-ONE e:とスーパーワンが必要だ #JMS2025【日本版編集長コラム#55】

公開 : 2025.11.09 13:25

街中の下り坂で効き方が絶妙

今回試乗したのは、ベーシックグレードの『G』。そう、インパネがシンプルな個体だ。撮影車にはオプションの小型ディスプレイが装着されていた。

動かし始めた第一印象は、乗り心地がよく、EVらしくすーっと走るというもの。車両重量は1030kgあるが、足まわりの硬さはそれほどでもなく、重いEVにありがちなドタバタ感はない。

試乗車のGグレードはオプションのディスプレイを装着していた。
試乗車のGグレードはオプションのディスプレイを装着していた。    平井大介

シングルペダルの回生ブレーキは強すぎずちょうどよく、街中の下り坂では効き方が絶妙。これはオンオフがボタンひとつでできて、それ以外で回生ブレーキがないのは個人的に好みの組み合わせだ。オートホールドの操作もわかりやすい。

ボディの見切りはよく、細くて少し径が大きめのステアリングも操作しやすい。上級Lグレードでは革巻きになるが、Gグレードの感触は特に気にならなかった。ヘッドスペースはハイトワゴンほどではないものの広めで、狭すぎず広すぎない室内スペースもちょうどよく感じた。

気になったのは、ダッシュボードのゴールドっぽい加飾と茶色のシートベルト。両グレード共通とのことだが、男性目線の好みには合わなかもしれない。また、シートは長距離ではどうか? という座り心地ではあった。

しかしながら、街中での加速も十分なもので、全般的に自然なフィーリング。欲を言えば上りでもう少しパワーがあるといいが、そこを求めるなら他の選択肢を考えたほうがいいかもしれない。N-ONE e:のターゲットは40~50歳代の女性で、街中での乗りやすさを中心に考えているからだ。

親しみが持てるN-ONEらしさを追求

試乗後、インテリアのCMFを担当したデザイナーと車体制御関係のエンジニア(2名)に話を聞くことができた。

まずデザイナーに茶色いシートベルトの件を聞いたところ、モノトーンだとすっきりしすぎてクールに感じられるからだという。それよりは親しみが持てるN-ONE e:らしさを追求。メインターゲットである女性に向けて、可愛らしすぎるよりもニュートラルさを意識したそう。

こちらはホイールが異なるLグレードで、新色のチアフルグリーンとなる。
こちらはホイールが異なるLグレードで、新色のチアフルグリーンとなる。    平井大介

また、ターゲット層は働いている人も多いということで、どんなファッションにもあうようにし、その幅広さで男性でも似合うことを目指した。

メインカラーのチアフルグリーンは、爽やかさや元気さをイメージし、EVのクリーンな走りが色でも伝わるように、という思いがあるという。ラインナップは青系を中心にし、取材車のシーベットブルーはN-ONEのガソリン車にはないものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。

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