最高出力3000ps以上!新星スーパーカーに感じた純粋さ #JMS2025【日本版編集長コラム#54】

公開 : 2025.11.02 12:25

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第54回はジャパンモビリティショー2025に展示された電動スーパーカー『ヤンワンU9』の話です。

久しぶりのモーターショー速報取材

ジャパンモビリティショー(以下JMS)2025の速報記事を担当し、久しぶりにモーターショーの取材をみっちりとさせて頂いた。長年、新車がメインではない紙媒体に属していたので、こういう速報取材は15年ぶりくらいだ。

さてモーターショーと言えば、コロナ禍に突入するまでは海外ショーにも通い、特に毎年春に開催されていたジュネーブ・ショーが思い出深い。最後にジュネーブへ行ったのは2019年で、2020年は開催3日前に急きょ中止となり、慌てて飛行機やホテルをキャンセルしたのをよく覚えている。

ジャパンモビリティショー2025のBYDブースに展示された『ヤンワンU9』。
ジャパンモビリティショー2025BYDブースに展示された『ヤンワンU9』。    平井大介

ジュネーブの会場は比較的コンパクトなのだが、スーパーカー雑誌『ROSSO』の編集部に所属していた頃は、エスカレーター(もしくは階段)を上がった先のホールを『魔のスーパーカー・トライアングル』と呼んでいたのが忘れられない。

いや、呼び名は正確には覚えていないのだが、そこにはフェラーリランボルギーニといった大手ブランドだけでなく、パガーニケーニグセグなど、規模こそ小さいがROSSOにとっては見逃せないブランド出展が目白押し。

地元スイスの富裕層を狙ってか、聞いたことのないブランドがいきなり現れることもあった。そのため、プレスデイ2日間のうち、2日目お昼頃まで下のフロアに行けないこともザラで、「やっと下りられる……」という疲労困憊の中で得た解放感は、今となってはいい思い出だ。

そしてなぜこの話を書き始めたかといえば、ジャパンモビリティショーのBYDブースで、気になるスーパーカーを見つけたから。それが『ヤンワンU9』である。

ニュルブルクリンク北コースで6分59秒157

『ヤンワン(仰望/YANGWAN)』は2023年に発足したBYDの高級スポーツカーブランドで、ポルシェアウディの対抗馬となる高級車ブランド『デンツァ(騰勢)』と共に展開されている。

U9といえばやはり、9月26日付けのプレスリリースで発表された496.22km/h(!)というEV世界最速新記録と、ニュルブルクリンク北コースで6分59秒157というラップタイムを叩き出した、『U9エクストリーム』であろう。

これをベースとした『U9エクストリーム』が496.22km/hというEV世界最速新記録を達成。
これをベースとした『U9エクストリーム』が496.22km/hというEV世界最速新記録を達成。    平井大介

なお8月には『U9トラックエディション』で472.41km/hを記録しており、それをすぐに更新した形だ。

U9エクストリームは世界初の量産型1200V超高電圧プラットフォームに、3万rpmモーターの4基で総出力3000ps(!!)を実現。世界限定30台で販売されるという。サーキットに特化したエクストリームに対し、U9はそのベースとなる公道とサーキット走行を両立するモデルだ。

JMSではあくまで参考出品とされているが、トランプ関税に揺れる北米市場、不調の中国市場を横目に、最近のスーパーカー日本市場への期待値はどのブランドでもかなり高くなっている。ランボルギーニの販売台数は現在世界3位で、フェラーリに至っては北米を抜いて日本が一番売れているという話もあるくらいだ。

なおUK編集部のレポートによれば、2027年にU9を英国市場へ導入する計画もあり、大きな期待を持ってのJMS出展だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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