平成元年からシトロエンSMを長年所有!「右に行けと念じれば右に行く」ほど一心同体な日々【ディープなシトロエニストとランデブー】

公開 : 2025.11.13 11:50

先日開催された『シトロエニスト・ランデブー・オーナーズフェスティバル2025』の会場に、ひと際目立つ赤い『シトロエンSM』がありました。オーナーは平成元年からSMを所有するシトロエニストです。内田俊一が紹介します。

ひと際目立つ赤いSM

先日、岐阜県高山市で開催されたオーナー向けイベント、『シトロエニスト・ランデブー・オーナーズフェスティバル2025』の会場には歴代シトロエンが展示され、その中にひと際目立つ赤い『SM』があった。オーナーは36年もこのSMを所有するシトロエニストだ。

このSMのオーナーは辻下克彦さん。最近まで名古屋にあったシトロエンのディーラー、渡辺自動車で平成元年に購入。1975年式で正規輸入されたクルマだ。初めて辻下さんがシトロエンを購入したのは『BX』で、そこからシトロエンの世界に入ったという。

こちらのシトロエンSMを所有する辻下克彦さん。
こちらのシトロエンSMを所有する辻下克彦さん。    内田俊一

「多分1986年くらいですね。それまでずっとスバルを乗り継いでいたんですが(いまも1300Gを所有)、CXに興味があって渡辺自動車に見に行ったんです。そこで『BXとCXは機能面では一緒だよ』とBXの新車を勧められて。それにCXは(トラブルなどで)脅されていて一抹の不安があったので、新車のBXを選びました」

しかし、結局『CX』もファミリアールを2台乗り継ぐことになる。

「7人乗りが欲しかったんです。当時、フォード・トーラスなども一緒に検討したのですが、CXの中古車が出て来たんですね。シリーズ1の2500で、いま思えばとても貴重なクルマでしたね。18万キロぐらい走っているの購入したのですが、大したトラブルもなく、調子のいいクルマでした」

そしていよいよSMを購入することになる。

辻下さんは、「こんな華やかさのあるシトロエンは珍しかったので、いつかは購入しようと思っていました」と話す。その華やかさとは、「当時はアメ車などが幅を利かせていたんです。ですが、SMはシトロエンなのにそういうイメージがあって興味が沸きました」。

速さ、希少性、中身の複雑さ

こうしてシトロエンを乗り継いだ辻下さんは、実際に手にしたSMの魅力について、「やっぱり速いですよね。それと希少性と中身の複雑さも。いま少し苦労していますけど、メカニカルな面も本当に興味深いです」と話す。

また、「高速での高い安定性ですね。昨夜は雨の中、名古屋から高山まで走って来ましたが、ステアリングに軽く手を添えているだけでどんどん走ってくれるんです。右に行けと念じれば右に行きます(笑)」というから、まさに一心同体だ。SMのセルフセンタリングシステムとクイックなステアリング特性のたまものといえよう。

セルフセンタリングシステムがあり、クイックなステアリング特性のSM。
セルフセンタリングシステムがあり、クイックなステアリング特性のSM。    内田俊一

さらに「もうひとつ」と辻下さん。「人脈製造機なんですよね。このクルマが縁で本当にたくさんの人たちと知り合いました」と続ける。

ここまで気に入っているSMだが、気になるところはないのだろうか。

「特に不満ないですよね」と笑う辻下さん。しかし、「強いて言えば赤いボディカラーかな」と話す。購入時に渡辺自動車でメンテナンスを受けていたクルマの中で、調子のいい個体は黒、白、赤があったそうで、偶々その中の赤が売りに出た。

従って、「赤だけどなぁと思って購入したクルマなんですよ」というが、赤いSMと辻下さんのイメージはぴったりだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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