マイナーな1980年代の名車&迷車 39選(前編) スターの陰に隠れてしまった不運なクルマ
公開 : 2025.11.30 11:25
ダッジ・ミラーダ(1980年)
1980年代の「シック」を体現するクルマと言えば、V8エンジンを前提に設計され、ホワイトウォールタイヤを装着したミラーダだ。快適な高速クルーザーとして理想的だったが、スポーティな側面も追求された。これが最大の課題となった。スポーティを謳うクルマとしては性能と運転感覚がいまいちで、顧客を失望させてしまったのだ。販売台数は3年間でわずか5万2000台。競合車と比較すれば微々たる数字で、生産は中止された。それでも、洗練されたアメリカン・モータリングの教訓として記憶に値する。

AMCイーグル・カムバック(1981年)
ニッチな分野では、とても奇妙な創造物が生まれる。英国のリライアント・ロビン、ドイツのメルセデス・ベンツR 63、そして米国のAMCイーグル・カムバックだ。現代のクロスオーバー車の先駆けとも言えるモデルで、四輪駆動システムを搭載した画期的なコンパクトカーである。
四輪駆動と後輪駆動を切り替えることができるのだが、そのためには停車する必要があり、初めてクルマを購入する人や仕事で使う人にとっては、とても不便なものだった。発売初年度は3万4000台とまずまずの勢いを見せたが、売上はわずか1年で低迷。どのニッチ分野にも言えることだが、その価値は消えて初めてわかるものだ。

ジープCJ-8(1981年)
ジープCJ-8は、CJ-7のホイールベースを10インチ延長したモデルである。CJ-7の伝説的なオフロード性能はそのままに、このセグメントではまだ珍しかったレジャー志向のモデルとして登場した。しかし、CJ-8の後継車はなかなか登場せず、2004年のTJシリーズ・ラングラーのアンリミテッド・バージョンまで待たねばならない。ジープのピックアップトラックは、2019年のグラディエーターで再び復活を遂げた。

フォードEXP(1982年)
廃止寸前のフォードEXPを救ったのは、エンジニアたちだった。EXPは、エスコートに代わるスポーティなモデルとして1982年に登場。フロントグリルが欠けたような奇抜なデザインが特徴で、22万5000台が販売されたものの、一番のファンは顧客ではなく社内にいた。
初代EXPの生産が終了する頃、フォードの工場で従業員たちがエスコートの部品を流用した改造車を作り、上司の承認を得た。その結果生まれた2代目EXPは、初代よりも平凡なデザインになってしまったが、エスコートシリーズの中で生き続けたのである。



















