VWの大人気クロスオーバー『Tロック』に新型登場 2代目はフルハイブリッド採用、デザインも刷新

公開 : 2025.08.28 18:45

フォルクスワーゲンは2代目となる新型『Tロック』を発表しました。デザインやシャシーを一新し、おなじみの48Vマイルドハイブリッドに加えて新開発のフルハイブリッドも初導入。11月より欧州で発売予定です。

従来よりも力強い外観へ

フォルクスワーゲンは、2代目となる新型『Tロック(T-Roc)』を発表した。大胆な新しい外観、刷新されたインテリア、そして革新的なハイブリッド・パワートレインを備えている。

Tロックは2017年の発売以来、世界で200万台以上を売り上げている大人気のコンパクトクロスオーバーだ。今回の新型は、フォルクスワーゲンが投入する最後の内燃機関車であり、市場環境が整えば、以降のモデルはすべてバッテリーEVのみとなる予定だ。

フォルクスワーゲンTロック Rライン
フォルクスワーゲンTロック Rライン    フォルクスワーゲン

新型Tロックは全長4373mmと先代モデルより120mm長く、トヨタC-HR(欧州仕様、2代目)、マツダCX-30、キア・ニロといった競合車種とほぼ同等のサイズとなった。

デザインを手掛けたステファン・ヴァールブルク氏の説明によると、先代より明確な個性を持たせ、ゴルフとの差別化を図ったという。

「Tロックは、『ライフスタイル志向』という特別なアイデンティティを持っています。クールで、タフで、パワフル、そしてエモーショナルな要素が強い。ゴルフの方が落ち着いたキャラクターです」と同氏はAUTOCAR誌に語った。

先代のクーペライクなシルエットを踏襲しつつ、前後にフルワイドのライトバーを配し、パサート/ティグアンと共通のフロントデザインを採用するなど、新世代のデザイン言語に合わせている。さらに、新しいカラースキームとホイールデザイン(最大20インチ)も用意されている。

新型Tロックは11月に欧州で発売予定で、ドイツでは8月28日から先行販売が始まる。

新開発のフルハイブリッド初導入

パワートレインは従来の構成を引き継ぐ。まず、48Vマイルドハイブリッドの1.5L 4気筒ターボガソリン『1.5 eTSI』として、最高出力115psおよび150psの仕様が用意されている。来年には、パワフルな2.0Lマイルドハイブリッドガソリンも追加される予定だ。

全車、7速デュアルクラッチ・オートマチック・トランスミッションが搭載される。駆動方式は前輪駆動が標準で、2.0L車は四輪駆動となる。

フォルクスワーゲンTロック Rライン
フォルクスワーゲンTロック Rライン    フォルクスワーゲン

さらに注目すべきは、2026年に導入予定のフルハイブリッド(HEV)パワートレインだ。フォルクスワーゲン初導入となる新開発のシステムで、トヨタのTHSに類似したものと見られている。ガソリンエンジンと小型電気モーターが連動し、排出ガス削減と低燃費を実現する。

このパワートレインの詳細は未公開だが、当初は最高出力135psまたは170psの仕様が投入され、最大トルクは31kg-mに達する見込みだ。

電気モーターは、後部座席下に設置されたバッテリー(容量不明)から電力を得る。フォルクスワーゲンはエンジン停止時(EVモード)の航続距離について明言していないものの、あるエンジニアはAUTOCARに対し、短距離・低速でのEV走行の可能性を示唆した。

新型Tロックは、フォルクスワーゲン・グループの最新プラットフォーム『MEBエボ』を採用するモデルの中で唯一、プラグインハイブリッド(PHEV)仕様が設定されない。しかし、ブランドCEOのトーマス・シェーファー氏はAUTOCARの取材で、約130kmのEV航続距離を誇るゴルフeハイブリッドのパワートレインを追加導入する可能性があると示唆した。同様に、Tロックのフルハイブリッド・システムも将来的に他モデルへ展開される可能性があるという。

シェーファー氏は、「ゴルフ、パサート、ティグアン、タイロン、そして今回のTロックと、主要な内燃機関車を全て刷新しました。最初の4車種にはPHEVまたはマイルドハイブリッドを、そして今回のTロックにはフルハイブリッドを用意しています。このプラットフォームはあらゆるニーズに対応しており、いつでも導入できるのです」と語った。

現在の計画では新型Tロックがフォルクスワーゲン最後の新型内燃機関車となるが、シェーファー氏は同社のパワートレイン戦略は柔軟であり、今後も追加導入の可能性があるとした。

「今後発表されるモデルは全てEVになるのか」との記者の質問に対し、シェーファー氏は次のように答えた。

「現時点では、このTロックが、内燃機関車として新しいプラットフォームを採用する最後の新型車となります。しかし、欧州連合(EU)の動向など、周囲を取り巻く環境は変化しています。2035年に内燃機関は終焉を迎えるのか? その境界線はどこにあるのか? それらは顧客の判断に委ねられています。需要があれば新型車についても検討しますが、現時点では計画はありません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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