【BYDラッコ】EVで軽自動車市場参入!プロトタイプ登場で、来年後半の日本発売がいよいよ現実的に #JMS2025

公開 : 2025.10.30 16:55

BYDの『軽自動車EV』がジャパンモビリティショー2025に登場しました。車名は『ラッコ(RACCO)』です。まだプロトタイプですが、実車は市販車と見間違うほどの仕上がりでした。桃田健史がレポートします。

コンセプトモデル感がないプロトタイプ

公約通り、BYDの『軽EVの本物』がジャパンモビリティショー2025に登場した。車名は『ラッコ(RACCO)』だ。

BYDの乗用車部門を担当するBYDオートジャパンは4月24日、『2026年後半に日本専用設計の乗用軽EVの国内導入を決定した』と正式に発表していたので、既定路線だと言える。

軽自動車EVのプロトタイプ『BYDラッコ』。
軽自動車EVのプロトタイプ『BYDラッコ』。    山田真人

ただし、展示されたモデルがあまりにも『本物感』が強いことに、その姿を見た自動車メディアや自動車業界関係者の多くが驚いた。コンセプトモデル感がないプロトタイプだからだ。

ゼロベースで立ち上げたプロジェクトにもかかわらず、コンセプトモデルを飛び越える短期の商品戦略が、いかのもBYDらしい。

技術的な詳細については今回、未公開だ。その上で、BYD関係者に話を聞くと「まだ日本での認証が取れていないため、日本での公道テストは行っていない」という。

ボディサイズについては当然、軽自動車規格である全長3400mm、全幅1480mm、全高2000mm以下を厳守した上で、全高については1800mm程度であることが分かった。

他の軽自動車と比較すると、最販モデルであるホンダ『N-BOX』がFFで全高1790mm、また4WDでは1815mmであるため、いわゆるスーパーハイトワゴンを想定したモデルとなる。

EVでは『N-VAN e:』(Gグレード)が全高1950mmであるが、こちらは商用や趣味用を前提とした商品性だ。

来年夏頃には発売か?

そのほか、既存の軽自動車を比べるとスライドドアが売りだ。既存の軽EVでは乗用をメインとする商品にスライドドアは採用されていない。

見方を変えると、軽市場で後発なBYDとしては、ユーザーに対して分かりやすい訴求点が必要だったと言えるだろう。

リアにスライドドアを持つスーパーハイトワゴンとなる。
リアにスライドドアを持つスーパーハイトワゴンとなる。    平井大介

パワートレインについても詳細は不明だが、後輪駆動であり、4WDの設定は当面ないことはわかった。筆者の経験では、後輪駆動をベースとするEVは走りにキレがあり扱いやすい。

4月のプリスリリースでは、軽EVの日本導入にあたり、軽自動車業界で業務経験が豊富な人材を広く募集するとしており、そうした知見がBYD軽EVの開発にフルに活用されているだろう。

モーター出力やトルクの出力特性などについても、『ATTO3』や『ドルフィン』で日本導入で培った知見を生かしたセッティングを施すものと考えられる。

バッテリーについては最新のグレードバッテリーを搭載するが、バッテリー容量や満充電での航続距離、急速充電への対応などについても未公開だ。

筆者は報道陣向けのプレスデー2日間、何度かBYDブースを訪れているが、BYD軽EVの周辺にはいつも多くの人が集まるほど注目度が高い。聞こえてくるのは「これくらいでちょうどいい」、「日本メーカーがつくる軽との差が分からないほど質感が高い」といった声である。

果たして価格はどうなるか? 発売は来年の夏頃になりそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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