複雑すぎた迷機『8-6-4』から最新型コルベットまで ゼネラルモーターズが生産した全V8エンジン(後編) 脈々と続く系譜

公開 : 2026.03.08 11:45

シボレー・スモールブロック Mk4(2004年)

スモールブロックは2004年に大幅な改良が施され、新世代へ移行した。2005年モデルのコルベットとシボレーSSRでデビューを飾り、排気量は4.8Lから7.0Lまで展開された。性能面でのハイライトは、コルベットZR1に搭載されたスーパーチャージャー付き6.2L版で、638psを発生した。

可変バルブタイミングと気筒休止を備え、ハマーH3やサーブ9-7X(写真)を含む多くのGM製品に採用された。

シボレー・スモールブロック Mk4(2004年)
シボレー・スモールブロック Mk4(2004年)

シボレー・スモールブロック Mk5(2013年)

現行のスモールブロックは、従来のプッシュロッド方式と2バルブを維持しつつ、新設計のシリンダーヘッド、直噴システム、アクティブ燃料管理など、その他の部分は完全に現代的な仕様となっている。スポーツカーや高性能モデルに加え、キャデラックエスカレード(写真)のような大型モデルにも採用されている。

さらに、このユニットの自然吸気バージョンは、2020年モデルで登場した8代目コルベットにミドシップエンジンとして搭載されている。

シボレー・スモールブロック Mk5(2013年)
シボレー・スモールブロック Mk5(2013年)

キャデラック・ブラックウィング(2018年)

スモールブロックとはほぼ対照的に、4.2L V8『ブラックウィング』は、各シリンダーバンクに2つのオーバーヘッドカムシャフトと2基のターボチャージャーを備えている。当初は550ps仕様がキャデラックCT6-Vに搭載された。生産台数はわずか275台に限定され、ほぼ即座に予約完売した。その後、出力抑えた500ps仕様のブラックウィングがキャデラックCT6プラチナムに搭載された。

このエンジンは他モデルには一切採用されていない。名称とは裏腹に、CT5-Vブラックウィングには6.2Lスーパーチャージャー付きの5代目スモールブロックが搭載され、一部のキャデラック愛好家をがっかりさせた。

キャデラック・ブラックウィング(2018年)
キャデラック・ブラックウィング(2018年)

シボレー LT6/LT7(2022年、2024年)

現行のLT6およびLT7は、ゼネラルモーターズが生産する最後のV8エンジンとなるかもしれない。シボレーのスモールブロックとは異なり、5.5Lの『LT6』(別名ジェミニ)はツインオーバーヘッドカムシャフトとフラットプレーンクランクシャフトを採用し、8600rpmまで回転数を上げられる。2022年にC8世代のコルベットZ06(写真)で初めて採用された。

一方、『LT7』はLT6と並行開発され、排気量も5.5Lと変わらない。しかし、大型の燃焼室、強化ピストン、2基のモノスクロールターボチャージャーにより、出力は1064psまで向上している。2024年、LT7はコルベットZR1に初搭載され、最高速度233mph(約375km/h)を記録し、史上最速の量産米国車となった。

シボレー LT6/LT7(2022年、2024年)
シボレー LT6/LT7(2022年、2024年)

非常に多くの車両を走らせてきた、そして今も走らせているゼネラルモーターズのV8だが、残念ながら先行きは不透明だ。その歴史がどこまで続くのかは分からないが、わたし達は最後まで見届けたいと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

ゼネラルモーターズが生産した全V8エンジンの前後関係

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