Tクロス・サイズの次期EV フォルクスワーゲンID.クロス 帰ってきた物理スイッチ 210psの前輪駆動 プロトの第一印象は?

公開 : 2026.03.23 18:05

原点回帰を掲げデザインされた、VWの次期バッテリーEV、ID.クロス。広い車内の要所には、物理スイッチが並びます。加速は鋭く、前輪駆動らしい振る舞いが魅力。UK編集部が試作車へ試乗です。

原点回帰を掲げた最新版のデザイン

フォルクスワーゲンは、ユーザーの意見へ耳を傾けた。キャビンに、沢山の物理スイッチが帰ってきた。あって欲しい所に、ちゃんとある。

AUTOCARでは何度か触れてきたが、同社のバッテリーEV、ID.シリーズのタッチモニターとタッチセンサー中心のインターフェイスには、少なくない不満が寄せられていた。シンプルなデザインは好ましくても、やや過剰なミニマリズムともいえた。

フォルクスワーゲンID.クロス(プロトタイプ)
フォルクスワーゲンID.クロス(プロトタイプ)

しかし、完成間近のID.クロスでは方針転換。フォルクスワーゲンは「原点回帰」というテーマを掲げ、デザインを進めたという。ちなみに、プロトタイプにはユーカリの鉢植えが飾られていたが、量産版との関係はないという。

さて、このID.クロスは、フロントに駆動用モーターを搭載した前輪駆動。サスペンションは前がマクファーソンストラット、リアがトーションビームと、従来的な構造を取る。ブッシュの調整で、柔らかな乗り心地と静寂性を高めたと主張される。

広い車内と要所に並ぶ物理スイッチ

カモフラージュで全貌は確認できないが、インテリアデザインはシンプル。それでも、エアコンには物理スイッチが充てがわれ、ステアリングホイールにも複数のスイッチが並ぶ。パワーウインドウは、従来通り開閉できる。ドアハンドルも触り慣れた形状だ。

ステアリングホイールは、上下がフラット。この方がメーター用モニターを確認しやすいと、同社は主張する。回生ブレーキの強さは、タッチモニター上で強弱を変更できる。

フォルクスワーゲンID.クロス(プロトタイプ)
フォルクスワーゲンID.クロス(プロトタイプ)

メーターのグラフィックは、知っている人なら初代ゴルフ風だと気付くはず。丸いスピードメーターと、タコ代わりのエネルギーメーターが描かれる。運転支援システムの設定や、駆動用バッテリーの残量も確認できる。

車内は同クラスとしては広く、ボディの寸法はTクロスと同等だが、Tロック並みの空間を確保したという。荷室も広く、床下に収納がある。

鋭い発進加速に前輪駆動らしい振る舞い

シングルモーターの最高出力は210psで、最大トルクは29.5kg-m。車重は1548kgとされ、100km/hを過ぎると勢いは若干鈍るものの、発進加速は鋭く、走りは活発といえる。追って、リミテッドスリップ・デフを組んだ高性能版も登場するとか。

踏み込む量に応じて、回生と摩擦が調整される高度なシステムを実装し、ブレーキペダルの感触は優秀。回生ブレーキだけで、最大2.2Gの制動力を生み出せ、強くすればワンペダルドライブへ近い運転にも対応する。

フォルクスワーゲンID.クロス(プロトタイプ)
フォルクスワーゲンID.クロス(プロトタイプ)

前後の重量配分は55:45と前寄りで、実際の印象もフロントヘビー。前輪駆動のハッチバックらしい、運転する魅力がある。フロントタイヤがボディを導き、リアが追従するような、カーブでの清々しい振る舞いが気持良い。

適度なボディロールで、重心移動を感じさせつつ、不安定さを滲ませることはない。ホットハッチのように、車高が低いわけではないけれど。車重がある程度あるため、乗り心地も良好。ドライブモードで、アクセルレスポンスとエアコンの動作が調整される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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