三菱の四輪制御技術『S-AWC』は、年内発表の新型クロスカントリーSUV=パジェロに活かされる? その走りに期待が高まる理由

公開 : 2026.05.26 12:05

走破性、直進安定性、操縦性を両立させるための技術

では、改めてS-AWCとは何か。三菱のフェローで工学博士の澤瀬薫氏による解説を交えて見ていこう。

最初に、なぜ三菱かS-AWCに注力するかだが、これは三菱が提供したクルマが「一歩踏み出す勇気、新しいことへの挑戦する気持ちを後押しする相棒」と位置付けていることに起因する。その上で、どんな路面や天候でも、誰もがどこへでも安全、安心、快適に自信を持って愉しく走れる走りを追求している。

三菱自動車のフェローで工学博士の澤瀬薫氏が『S-AWC』を解説。
三菱自動車のフェローで工学博士の澤瀬薫氏が『S-AWC』を解説。    桃田健史

そんな三菱が目指す走りを実現するために、走破性、直進安定性、操縦性を両立させるための技術がS-AWCだ。

S-AWCの特徴は、走る、曲がる、止まるの運動がドライバーの操作とシンクロしながらシームレスに連続制御する点にある。具体的には、減速時、旋回時、加速時の制御をラップさせる。さらに、ドライバーがリニアリティがあるレスポンスの良さを体感できるのもS-AWCの強みだ。

期待が高まる新型クロスカントリーSUV

その上で、S-AWCの技術的な定義について澤瀬氏は、「前後輪間のトルク配分をする4WD」、「左右輪間のトルク移動するAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」、「4輪のブレーキ力の制御(ABS、ASC)」といった要素を兼ね備えている点を挙げた。

これらの連携により、ドライバー操作と外部からの力の入力により、クルマがこれから動こうとする想定走行環境を適切に制御するのだ。

『S-AWC』は、スーパー・オール・ホイール・コントロールの略となる。
『S-AWC』は、スーパー・オール・ホイール・コントロールの略となる。    三菱自動車

具体的にシステムとしては、『アウトランダーPHEV』が搭載する後輪をモーター駆動する『ツインモーター4WD』、デリカD:5のプロペラシャフトを介する電子制御AWDのほか、ラダーフレーム構造の『トライトン』の『スーパーセレクト4WD-II』も「S-AWCに含まれる」(澤瀬氏)という解釈だ。

今後、S-AWCは電動化と知能化の活用によって、さらに進化する。

一説には『パジェロ』の車名が与えられるという、今年中に国内導入予定の新型クロスカントリーSUVは、果たしてどんなS-AWC機能を持つのか、今回の説明会では技術について未公開だったが、大いなる期待を持ってその登場を待ちたい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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