伝説のラリーカーからロータリーエンジン搭載ファミリーカーまで 豊かな歴史が詰まったアウディ博物館の至宝(後編)
公開 : 2026.06.13 11:45
アウディ・クワトロ(1980年)
1977年、北欧の仮設コースで、フォルクスワーゲンのイルティス(ジープのような簡素なオフロード車)が、はるかに高出力なアウディの乗用車よりも優れた性能を見せたことにテストドライバーたちは首をかしげた。テストドライバーの1人、イェルク・ベンジンガー氏はインゴルシュタットに戻ると、その体験をアウディの取締役フェルディナント・ピエヒ氏に語った。
アウディの四輪駆動システム「クワトロ」は、この会話の中で生まれた。

初代クワトロを作るため、アウディは改造したクーペボディに四輪駆動システムを搭載し、200psを引き出した。動力源は、力強い音色を奏でる5気筒エンジンだ。クワトロは、前後とも大型のバンパーと張り出したフェンダーを備え、前輪駆動のクーペとは一線を画していた。
このスタイリングは、その後数十年にわたりアウディを特徴づけるものとなった。この四輪駆動システムのおかげで、クワトロは1980年代、史上最も成功したラリーカーの1つとなった。
アウディ・スポーツ・クワトロ(1983年)
アウディ・スポーツ・クワトロは標準のクワトロとよく似ているが、共通点はほとんどない。アウディはホモロゲーション(公認)のためだけにスポーツ・クワトロを生産した。そのボディは複合材料で作られ、306psの5気筒エンジンを搭載している。当時のドイツ車の中で最もパワフルなモデルであり、かのポルシェ911ターボさえも凌ぐパワーを誇った。
ドイツのコーチビルダーであるバウアーは、1983年から1984年にかけてアウディのために214台のスポーツ・クワトロを製作した。アウディ博物館に展示されているのは、その最初の1台である。

アウディ・スペースフレーム・コンセプト(1993年)
アウディは1993年のフランクフルト・モーターショーで、メルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズに匹敵する新型高級車を予見させるスペースフレーム・コンセプトを披露し、会場の注目を集めた。
フランクフルトで展示されたアルミニウム仕上げのショーカーはV8 TDIディーゼルエンジンを搭載していたが、アウディ博物館に展示されているダークレッドの車両は、1993年の東京モーターショーで354psのW12エンジンを搭載して公開されたものだ。どちらのモデルも、フルタイム四輪駆動システムのクワトロによる重量増を相殺するため、画期的なアルミニウム製シャシーを採用している。

このスペースフレーム・コンセプトは、初代A8として量産化され、1994年のジュネーブ・モーターショーで市販デビューを果たしている。




























