創業者を超えた在職期間 ランボルギーニを変革したステファン・ヴィンケルマンCEO:イシゴニス賞(前編) #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.01 18:05

第3のモデルラインを構築

「長い道のりでした。アイデア自体は非常に早い段階で生まれたのですが、2008年のパリ・モーターショーで披露したセダン『エストーケ』など、さまざまなバリエーションを検討しました。その後すぐにSUVの開発を決断しましたが、組織規模を拡大する必要があり、財務面でも容易ではなかったため、実現までには数年を要したのです」

実際、ウルスは2012年にコンセプトカーとして公開されたが、量産化に至ったのは2018年、ヴィンケルマン氏がランボルギーニを離れていた時期のことだった。しかし、このモデルは同社とサンタアガタ・ボロネーゼ工場の変革のきっかけとなった。

ラインナップを前にしたステファン・ヴィンケルマン氏
ラインナップを前にしたステファン・ヴィンケルマン氏

ウルスのためにまったく新しい組立工場が建設され、最先端の生産技術を活用することで、スーパーカーの生産ラインでは想像もできなかった規模を実現した。また、これはランボルギーニの成長を支える秘密の1つ、すなわちフォルクスワーゲン・グループの支援を如実に示すものでもあった。

ドイツの巨大企業フォルクスワーゲンは1998年にランボルギーニを買収し、高級・高性能車部門としてアウディの管理下に置いた。これによりスケールアップが可能となった(ウルスはアウディQ7ベントレーベンテイガなどとプラットフォームを共有している)が、同時に自らのルーツを見失うこともなかった。

これは言うほど簡単なことではない。マセラティロータスといった、同様の伝統ある高性能車ブランドは、巨大グループに吸収された際、アイデンティティを維持するのに苦労してきた。

「真のランボルギーニ」とは

若き日をローマで過ごしたドイツ人のヴィンケルマン氏は、イタリアとドイツの微妙な関係性をバランスよく保つのに、おそらく最適な立場にある。

「ランボルギーニはイタリアのブランドなので、簡単ですよ。ルーツ、工場、本社はそこにあります。従業員のほとんどはイタリア人で、工場で働く多くの従業員は2代目です」

ランボルギーニ・ウルス
ランボルギーニ・ウルス

「現在ラインナップしている2台のスーパーカー、レヴエルトテメラリオは、開発や部品の面でほぼ100%イタリア製です。シナジーの効果を最もよく示しているのがウルスです。共通のプラットフォームを採用していますが、当社のエンジニアたちは、真のランボルギーニと呼べるクルマを作り上げるという素晴らしい仕事をしました。ウルスを運転する人が、それを疑うことは決してないでしょう」

「真のランボルギーニ」という言葉は、ヴィンケルマン氏の体制下で継続的な成功を収めているもう1つの重要な要素と言える。大胆なスタイリング、極限のパフォーマンス、そしてちょっとした演出を融合させ、非常に際立った存在感を放っているのだ。ランボルギーニには心地よいほど狂気じみた一面があり、それはエントリーモデルのウルスから、「限定生産」のスペシャルモデルに至るまで一貫している。V10スーパーカーを車高の高いラリーマシンに変えるという発想は突飛に聞こえるかもしれないが、その結果生まれた『ウラカン・ステラート』は大ヒットした。

(翻訳者注釈:この記事は「後編」へ続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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