「バットモービル」の圧倒的存在感 BMW 3.0 CSL/ポルシェ911 カレラRS 2.7(2) 現れたモータースポーツへの野心

公開 : 2026.07.12 17:50

トルクフルでリニアに回るM30型ユニット

キャビンは、往年の理想的なグランドツアラーを体現したもの。バケットシートはシェール社製で、ウッドパネルが飾るダッシュボードには、VDO社製メーターが4枚。3スポークのステアリングホイールは扱いやすく、広いガラスエリアが開放感を生む。

ストロークの長いレバーで1速を選び発進させると、クラス上の高級クーペだと実感する。タイトな身のこなしでドライバーを刺激するポルシェに対し、一段穏やか。それでもハイチューンのM30型ユニットは、トルクフルでリニアに回る。

BMW 3.0 CSL(1971〜1975年/欧州仕様)
BMW 3.0 CSL(1971〜1975年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

アクセルペダルを深く傾ければ、颯爽と5000rpmを超える。ドライな、喉を鳴らすような特有の排気音を奏でながら。サーキット由来のホモロゲ仕様でありつつ、長距離ツーリングも充分に楽しめる洗練性も併せ持つ。

切り始めが重いステアリングホイールは、速度が乗れば軽く転じる。路面状況を手のひらへ伝え、連続するコーナーをヒラヒラと舞えるほど、反応は程良くクイックだ。

911 カレラRS 2.7の9割程度のペースで飛ばせる

ワインディングへ飛び込めば、911 カレラRS 2.7の方が速いことは間違いない。アスファルトの凹凸を巧みに均す、上質な乗り心地を提供してくれるかわりに、カーブでのボディロールは小さくない。加減速時は、ノーズの上下動も驚くほど大きい。

ピレリ・タイヤは頼もしくグリップし、キッカケを与えればテールは漸進的に外へ流れ出す。リカバリーしやすく、穏やかにラインへ戻せる。1970年代のBMWらしい。

BMW 3.0 CSL(1971〜1975年/欧州仕様)
BMW 3.0 CSL(1971〜1975年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「日曜日にレースで勝てば、月曜日のショールームが賑わう」時代を象徴する、2台のホモロゲ仕様。ポルシェの方が、よりサーキットへ近い内容にあったことは明らかだ。

とはいえ、能力の幅で筆者を惹きつけるのは、やはり3.0 CSL。キャビンは設えが良く、直6エンジンは官能的に回る。その気になれば、911 カレラRS 2.7の9割程度のペースで飛ばせる。欧州の首都を巡るグランドツアラーへ、旅立ちたくなる。

協力:カーズ・インターナショナル・ヘリテージ社、BMW UK社、ポルシェ・クラブ・グレート・ブリテン

BMWとポルシェ ホモロゲ仕様な2台のスペック

BMW 3.0 CSL(1971〜1975年/欧州仕様)

英国価格:9000ポンド(1973年時)/30万ポンド(約6300万円)以下(現在)
生産数:1265台(CSL合計)
全長:4630mm
全幅:1739mm
全高:1372mm
最高速度:220km/h
0-97km/h加速:7.5秒
燃費:5.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1270kg
パワートレイン:直列6気筒3153cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:208ps/5600rpm
最大トルク:29.6kg-m/4200rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972〜1973年/欧州仕様)

英国価格:7232ポンド(新車時)/110万ポンド(約2億3100万円)以下(現在)
生産数:1580台
全長:4165mm
全幅:1613mm
全高:1320mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:5.5秒
燃費:5.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1088kg
パワートレイン:水平対向6気筒2687cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:213ps/6300rpm
最大トルク:25.9kg-m/5100rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動

ガルフ・ブルーのポルシェ911 カレラRS 2.7と、シルバーのBMW 3.0 CSL
ガルフ・ブルーのポルシェ911 カレラRS 2.7と、シルバーのBMW 3.0 CSL    マックス・エドレストン(Max Edleston)

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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