ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(2) ファントムやカリナン以上の安楽さ 長年愛する人が求めていた非日常クーペ

公開 : 2026.08.24 18:10

オーナー自ら運転したいロールス・ロイス

後輪操舵システムやアクティブ・サスペンションが相乗し、高速域でもコーナリングは極めて正確。オーナー自ら運転したい、ロールス・ロイスといえる。車線幅いっぱいのボディサイズだから、相応の集中力が求められるとはいえ。

23インチ・ホイールを履く試乗車の車内ノイズは、約80km/hでの走行時に55dBA。2021年に計測した、21インチ・ホイールのロールス・ロイス・ゴーストと並ぶ。

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)

電動パワートレインの電圧は400Vで、急速充電は最高195kWと、他を凌駕する速さではない。だがスペクターのオーナーは、平均で1年間に約5600kmしか走らせないそうだから、不満を抱く可能性は低いだろう。

英国価格は、33万3185ポンド(約7163万円)から。同社のラインナップの中では、高いと呼べる側にはない。ブラックバッジは、38万6665ポンド(約8313万円)だ。

ブランドを長年愛する人が求めていた非日常クーペ

ブランドへ新時代をもたらすと主張される、スペクター。ブラックバッジ仕様でなくても、運転体験や所有体験は、初の電動ロールス・ロイスとしてまったく不満ないものといえる。日常に不足ない航続距離を備えた、非日常のクーペにある。

ゼロエミッションという現代性に、孤高のステータス性。上品でありながら強く惹き込まれる、世界屈指のラグジュアリー・クルージングを謳歌できる。長い伝統を持つブランドの品格を継承しつつ、自ら運転したいと思わせる魅力も宿す。

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)

比類ない優雅さと安楽さで、EVの新たな世界へスペクターは乗り手を誘う。これぞ、ロールス・ロイスを長年愛する人が、求めていたモデルではないだろうか。

◯:類まれに洗練され流暢な巡航能力 浮遊感を伴い魅了される乗り心地 黄金期を彷彿とさせるインテリア 巧妙に融合された電動パワートレイン技術
△:やや滑らかさに欠く低速域での乗り心地 狭い場所で気を使う全幅

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)のスペック

英国価格:33万3185ポンド(約7163万円)
全長:5475mm
全幅:2015mm
全高:1573mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.5秒
航続距離:582-627km
電費:4.6-4.9km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2925kg
パワートレイン:ツイン他励同期モーター
駆動用バッテリー:112.4kWh
急速充電能力:195kW(DC)
最高出力:601ps
最大トルク:103.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション/四輪駆動

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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