リアエンジン車の黄金時代(前編) フォルクスワーゲン・ビートルに影響を与えた名車からスバル360まで 1950~60年代のトレンド
公開 : 2026.09.21 12:05
ポルシェ356(1948年)
1948年に製作された最初のポルシェ356プロトタイプは、ミドシップエンジンを採用していた。このレイアウトを貫いていればポルシェの歴史を完全に変えていたかもしれないが、コストとパッケージング上の理由から、量産モデルではエンジンをリアアクスルの後方に配置することになった。
356は、今日の911へと続く、ポルシェのリアエンジンモデルの長い系譜の起点となった。しかし、ポルシェはその原点も忘れておらず、後に914や718ボクスターなど、いくつかのミドシップモデルを発売している。

フィアット600(1955年)
600は、フィアットとリアエンジンとの長い関わりのはじまりとなった1台だ。同社は、戦後のイタリアにクルマを普及させるためのものとして構想していた。価格、維持費、整備費のすべてが安価であることが求められた。フィアットは前輪駆動を真剣に検討したが、冒頭でエンジニアのダンテ・ジアコーザ氏が説明したように、コストを抑えるために最終的に後輪駆動かつリアエンジン方式を採用した。
初期モデルはドアの開閉方向が逆で、水冷式633cc直列4気筒エンジンを搭載している。長い生産期間の間に排気量は拡大し、いくつかの派生モデルも生まれた。スペインではセアト800として販売され、そこで2組目のドアが追加されたが、フィアットが4ドアモデルを発売することはなかった。

ドイツではネッカー社、ユーゴスラビアではザスタヴァ社がそれぞれ600を生産した。アルゼンチン、ウルグアイ、チリの工場でも、現地のニーズに合わせて改良を加えたモデルが生産された。
また、イタリアでは数十社のコーチビルダーがクーペ、コンバーチブル、スポーツカー、さらには高級車へと改造した。イタリアでの600の生産は1969年に終了したが、ユーゴスラビアでは1985年まで販売が続けられた。
フィアット600ムルティプラ(1956年)
フィアットは600の発売後すぐ、ラインナップ拡充に取り掛かった。1956年初頭には、現代のミニバンに先駆けるモデルである600ムルティプラを発売した。前席をフロントアクスルの真上に移動させることで、リアエンジンレイアウトを維持しつつ、ボディを大幅に延長することなく広々とした室内空間を確保した。
600ムルティプラは最大6人乗りで、2人が室内で就寝できるほか、大量の荷物を積載することもでき、レジャー志向のクルマの草分け的な存在の1つとして称賛された。







































