ランチアが13台も出品！　イギリスのクラシックカー・レースの定番イベント「GMM」は、本気のレースが行われることで知られます。実は、コアな来場者に向けたディープなオークションも開催されるのです。結果を一覧でご紹介します。

text：Kazuhide Ueno（上野和秀）　photo：BONHAMS

ボナムス・グッドウッド・メンバーズ・ミーティング・オークション結果一覧

フェスティバル・オブ・スピード、リヴァイヴァルに続く第三のグッドウッドとして2014年に復活したのが「GMM（グッドウッド・メンバーズ・ミーティング）」だ。グッドウッド・リヴァイヴァルでおなじみのグッドウッド・サーキットを舞台に開催され、これにリンクしてボナムスがイギリスらしいコアなオークションを開催した。

このオークションの特徴はクラシックカー・レースにリンクして開かれるだけに、ここのレースに参戦していたマシンが出品されることにある。これから参加を希望する方にとってはすぐに実戦参加できるマシンを選んで入札できるメリットがある。

コンペティションカーを数多く用意

今回はオースチンA30 HRDCアカデミー・コンペティション、ロータス・コルチナ・コンペティション、MGマグネットZAコンペティション、シボレー・コルヴェア500コンペティションといったツーリングカーから、コノートL2 2 1/2L 2座スポーツ、アッティラ・シボレーMk-3 5.0L、カノンGTクーペ、ターナーMk-IIスポーツなどのイギリスならではといえるマイナーなレーシング・スポーツカーが用意された。

このほか、ここにきて評価を高めているアルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTAが姿を見せ、スペアエンジンも出品されて人気を集めた。

GMMオークションのもうひとつの特徴はイギリスを中心とした戦前車が数多く並ぶことだ。レストア済みのバリものから、ほとんど残骸といった状態までのクルマが用意され、それなりに落札されてゆくところが凄いところだ。

また今回はコレクター放出のランチアが注目を集めた。1931年のラムダから1992年のY10までの9台は、このオークションのもうひとつの目玉といえた。

オークションを終えてみれば僅かに出品されたスーパーカーは総崩れで、最終的な高額落札の上位にはGMMらしいモデルが占めた。その結果を見てみよう。

　1958年ACエース・ロードスター（3023万円）
　1967年アストン マーティンDB6（2758万円）
　1965年アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA（2675万円）
　1956年ランチア・アウレリアB24コンバーチブル（2343万円）
　1959年アストン マーティンDB Mk-III（1929万円）
　1933年ラゴンダM45 4 1/2L ツアラー（1879万円）
　1965年ジャガーE-タイプ・シリーズ1 4.2Lロードスター（1763万円）
　1936年タルボBG110アロイボディ・ツアラー（1680万円）
　1961年メルセデス・ベンツ190SLコンバーチブル・ハードトップ付（1630万円）
　1968年フィアット・ディーノ2.0Lスパイダー・ハードトップ付（1481万円）

一方でレストア前のプロジェクトやバーンファインド車もあり、1940年ランチア・アプリリア・ベルリーナ・プロジェクトの11万円を筆頭に、ほとんど残骸といえる1915年ロシェ・シュナイダー15hpタイプ11000プロジェクトが60万円、メジャーなところでは1970年ジャガーE-タイプ・シリーズ 2クーペ・プロジェクトは238万円で落札された。

このGMMオークションの結果を見ると、愛好家のために開かれていた一昔前のオークションを想わせるものだった。やはり、エンスージァストの層が厚いイギリスだからできるオークションといえよう。

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価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。