長期テスト フォルクスワーゲン・ゴルフGTI(最終回) 40歳を迎えてもGTI

公開 : 2019.11.23 10:50

新しいゴルフが発表されましたが、まだまだ7代目ゴルフは現役。誕生から40年が経過したゴルフは、今も世界最高のオールラウンド・ホットハッチなのかどうか、2万キロを超えた長期テストは最終回となりました。

積算2万383km デリケートなスイーツも運べる

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは乗り心地が良い。その物理的な証拠が出た。ティータイムのスイーツを何事もなく運搬できたのだ。

ジャムのタルトは形を崩さず、卵とマヨネーズのサンドイッチは、オープンサンドにならなかった。助手席に乗せたホールケーキ、ビクトリア・スポンジも美しさを保ち、次に乗る人のお尻を汚すこともなかった。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目

積算2万1110km ホットハッチの変化が多かった2017年

パワーは充分か?はい。エキサイティングか?もちろん。サウンドは?うーん。今回2万kmもの距離を長期テストで試乗したが、この点に関しては肯定はしにくい。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは2017年に誕生から40周年を迎えた。今回の長期テストでは、ささやかながらそれを祝おうと考えていた。フォルクスワーゲンのウェブサイトで、GTIのオプションを選びながら計画していたことだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目

だが2017年、ホットハッチ界には大きな変化があった。ヒュンダイからは優れたi30 Nが登場し、フォルクスワーゲンの領域に迫った。ホンダからは、フロントタイヤに史上最大といえるパワーを伝える、シビック・タイプRが登場した。しかも英国価格はゴルフGTIと大差ない。

プジョーセアトからも、ホットハッチを活気づけるモデルが登場した。フォルクスワーゲンは黙っていられず、マイナーチェンジ後の2017年にパワーアップとリフレッシュを加えている。GTIの存在感を示す必要があったのだろう。

場面を選ばず一緒に過ごしたいゴルフGTI

結果的に、ゴルフGTIはホットハッチの中で最速でも、最もパワフルでもない。限定モデルは別として、標準のGTIがニュルブルクリンク・ノルトシュライフェを、レースカーのようなペースで周回することもなかった。

スペック上のGTIは正直いって冴えない。40歳を過ぎると、健康診断の結果が冴えないように。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI 7代目

時間を掛けて乗ってみたらどうだろう。短距離の買い物から、通勤、週末の観光ドライブから、長距離の自動車旅行まで。様々なスタイルの運転を体験したが、他のホットハッチとは大きく異なり、どの場面でもGTIは快適だった。

ライバルはいずれもギリギリまでシャープになり、速く、限界領域が引き上げられているが、一緒に長時間過ごせるだろうか。少なくとも筆者にとって、一緒に長く過ごしたいクルマはGTIだ。

長期テストで選んだグレードは、一般的なGTIとは少し異なる内容だった。もっとも純粋に、ルーツに近いGTIを確認したいと考えたから。

ボディは3ドア。もはやハッチバックでは珍しい。スポーティなスタイリングに気に入っていたが、やはりリアシートへの乗り降りで、少し面倒に感じることは何度かあった。フォルクスワーゲンは8代目ゴルフで3ドアを作らないそうだが、納得できる。

トランスミッションは6速MT。DSG(AT)を搭載したゴルフに試乗する機会があったが、変速時の振る舞いなどで、MTは正解だったと思う。低回転域ではやや非力なこともあり、ドライバーがギアを選択して高回転域保ち、自らの意思でクルマを走らせる実感がある。

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