【ホットハッチ越えた?】俊足クロスオーバーの実力を試す フォルクスワーゲンTロックR vs BMW M135i 前編

公開 : 2020.02.15 09:18  更新 : 2020.02.15 09:18

純粋なスポーティさ

それぞれのラインナップでトップに君臨するモデルとして、このTロックと1シリーズには驚くほどの共通点がある。

どちらも自社製2.0L 4気筒ターボエンジンを積んで、0-100km/h加速4.8秒を達成するとともに、多くのBMW信者には悪夢かも知れないが、前輪に多くのトルクを供給するオンデマンド式四輪駆動システムを備えている。

M135iは見事なデザインの18インチホイールを履く。
M135iは見事なデザインの18インチホイールを履く。

さらに、クロスオーバーモデルの方が背が高く、幅広く、そして短いにもかかわらず、この2台はほぼ同等のキャビンスペースを確保しており、低く構えたBMWの横ではTロックのボクシーなボディスタイルが際立っている。

TロックRの膨らんだフェンダーが魅力的な一方、か細く感じられるリアタイヤとやや大きすぎるグリルを与えられたこの新型1シリーズのスタイリングは、決してBMW最高のものだなどとは言えないだろう。

だが、純粋なスポーティさで言えば、勝者は明らかであり、それは決してクロスオーバーモデルの方ではない。

TロックRのキャビンではスポーティさを感じることは出来ず、これがクロスオーバーモデルを好きになれない理由なのだ。

高く座らせるシートポジションと高さ方向に余裕のあるキャビンがリラックスした雰囲気を感じさせ、大抵のホットハッチよりも快適なリアシートが多くの支持を集めるだろうが、こうした特徴はTロックだけのものではない。

ドライバーズシートからはクリアで良好な視界を確保することが出来るが、その替わりにクルマとの一体感が犠牲となっている。

幸いにも、BMWと同じくらいにシートを低い位置にセットすることも可能だが、そうした場合、まるでキャビンのなかに沈み込んだような、奇妙な感じを抱くことになるだろう。

コートを着たゴルフR

M135iに乗り換えるとまるで無理やり押し込められたような、雑然とした印象を受けるが、それでもより自然に馴染むことの出来るキャビンは、このクルマの3万6430ポンド(517万円)という価格に相応しい質感を備えている。

一方、3万8450ポンド(546万円)というプライスタグを掲げているにもかかわらず、TロックRのキャビンではまるでポロから借りてきたかのようなパーツが散見され、決して価格に見合ったものだとは思えない。

TロックRはより大径のホイールサイズを選択している。
TロックRはより大径のホイールサイズを選択している。

つまり、伝統的なホットハッチという存在のほうが、そのエクステリアとインテリア、双方のルックスとフィールでより魅力的な存在だということだ。

それでも、「これまでもそうだった」と言うかも知れない。

TロックRも一旦その19インチのプレトリア・アルミホイールが回転を始めれば、ドライバーの期待に応え始める。

結局、このクルマは分厚いコートを着たゴルフRであり、TロックRの方がわずかに短いホイールベースによって、多少機敏さで上回るかも知れないが、この2台は同じMQBプラットフォームを共有しているのだ。

お馴染みのEA888エンジンも同じ300psを発揮しており、例えBMWの新B48A20T1型ツインスクロールターボほどのレスポンスは備えていないとしても、どの回転数からでも必要十分なトルクを発揮するその類まれなパフォーマンスに変わりはない。

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