【詳細データテスト】 プジョー508SW エンジン車同様の快適志向 グリップとボディコントロールは上々

公開 : 2020.07.18 11:50

内装 ★★★★★★★☆☆☆

インテリアは、これこそまさに、10年ちょっと前に、大衆車メーカーがプレミアムブランドに対し反攻に出た分野だ。このクルマのキャビンを目にすると、その挑戦が成功したのだとはっきりわかる。

組み付けと仕上げのレベルは良好。プラスティック部品の見栄えは、手触りに比べればややいい。とはいえ、ブランドを示すものをすべて取り去れば、パッと見ならプレミアムブランドのものと間違えるひともいるのではないだろうか。プジョー特有のiコクピットをもってしても、すぐにわかるというほどの差はない。

センターコンソール上部はフローティング構造。その下に空間があり、左右にUSBポートが設置される。どちらも携帯電話の充電は可能だが、ミラーリングに使えるのは助手席側のみだ。
センターコンソール上部はフローティング構造。その下に空間があり、左右にUSBポートが設置される。どちらも携帯電話の充電は可能だが、ミラーリングに使えるのは助手席側のみだ。

設計思想は、これまでのプジョーと変わらない。アシスト強めのラックには、角張った小径ステアリングホイールが取り付けられる。メーター類は、リムの内側を通してではなく、その上から見ることになる。

それが視界の邪魔にならないようにドライビングポジションを取れるか、それが気にならないドライバーであれば、これも悪くない。経験からいえば、恩恵に預かれるひとは多いはずだ。

このレイアウトは、登場から年月を経て改良を重ねられてきた。508のメーターパネルは、ほとんどのテスターが、少なくとも重要な表示を視認できた。

とはいえ、決してパーフェクトではなく、ステアリングホイールを一般的なポジションに設定することができない。とにかく低く座る必要がある。まるで遊園地のゴーカートみたいに。

計器類そのものは、文字が太く鮮明だ。ただし、使いやすさや表示の情報量は、選択したレイアウトに左右される。そのうちのひとつがカスタマイズ可能なモードで、われわれはこれを使用した。

この計器盤を補完するのが、センターのタッチ式ディスプレイだ。これは、実用性を損うことなしに、多くのボタンを排除しようという試みの一環でもある。

操作部のデジタル化は、ソフトウェアとデバイスが進歩するにつれ、ある面では意味を成すようになった。しかし、画面タッチでエアコンの温度調整をするなどというのは、われわれに言わせれば愚の骨頂だ。

508のドライビングポジションはおおむね良好で、後席スペースはまずまず。前席シートバックは裏側がえぐられていて、レッグスペースは十分だ。ただし、ルーフが傾斜しているので、ヘッドルームは制限される。ラゲッジルームのカバーとルーフの間にスペースはあまりない。

後席使用時の荷室容量は530Lで、ワゴンボディのヴァリアントで650L、セダンでも586Lあるフォルクスワーゲンパサートには実用性でだいぶ後れを取る。ルックス重視のワゴンというのも、それはそれで価値があるとわれわれは思う。愛犬が同意してくれるかは、また別の話だが。

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