【詳細データテスト】BMW 4シリーズ 速さも燃費も上々 アダプティブダンパーの乗り味も上々 見た目とサウンドは改善を希望

公開 : 2021.01.17 20:25

意匠と技術 ★★★★★☆☆☆☆☆

このスタイリングもだいぶ見慣れてはきたが、テスター陣がそれを好意的に受け入れるまでには至っていない。

矢のようなボンネットのプレスラインと物議を醸したグリルを擁するフロント周りは、新たなかたちの頼もしさと個性を発揮するべくデザインされた。ところが、そこには一貫性やシンプルさ、そして慎ましさといった、近年のよくできたBMW製クーペにみられた美点が、このクルマには見出せない。われわれが問題視しているのは、まさにその点だ。

大きすぎる縦型キドニーグリルは、フロントで並々ならぬ存在感を放つ。たしかに、戦前型328のグリルより高さは抑えたが、それでも過去のアイコンの現代解釈が、最新のクーペにしっくりきているとは言いがたい。
大きすぎる縦型キドニーグリルは、フロントで並々ならぬ存在感を放つ。たしかに、戦前型328のグリルより高さは抑えたが、それでも過去のアイコンの現代解釈が、最新のクーペにしっくりきているとは言いがたい。    MAX EDLESTON

ボディパネルは膨らみ気味なうえに、ディテールに凝りすぎている。ボディ後部に至っては、均整が取れておらず、鮮明さに欠ける。ホフマイスターズキンクらしきものはあるが、どうにも不明瞭だ。

メカニズムに話を移せば事態は好転するが、そこにたどり着くまでには辛抱が必要だ。まず、初代4シリーズよりかなりサイズアップしているが、これは吉兆とはいえない。先代クーペのF32に対し、全長は128mmも伸び、全幅も全高も拡大。先代435i Mスポーツでは1640kgだった車両重量も、今回のテスト車では1775kgに達した。

ところが、現行世代の3シリーズと比較すると、多くの好材料を見つけられる。低められたボディは、重心高を21mm下げるのに貢献。またシャシーは、専用の補強が施されている。足回りでは4シリーズのほうがトレッドは広く、スプリングやダンパー、スタビライザーが再チューンされた。

420dに搭載される2.0L直4ディーゼルは、191psを発生する最新世代のツインターボユニット。今回テストするM440iはガソリンの直6ツインスクロールターボで、最高出力は374ps。この2機種のエンジンには48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされ、11psの電動アシストが加わる。

このほか、直4ガソリンユニットも用意。420iの184ps仕様と430iの259ps仕様が存在するが、いずれも最新の48V電装系は与えられなかった。

トランスミッションは、全車とも8速ステップトロニックことZF製のトルコンATを搭載。4気筒モデルは後輪駆動が標準仕様で、4WDはオプションだが、6気筒モデルはFRベースのxドライブこと四輪駆動システムがスタンダードとなる。

英国仕様は、エントリーグレードがMスポーツで、ハードなスプリングと、パッシブながら可変減衰力を実現するリフトリレーテッドダンパーを採用。さらに前部構造の補強と可変スポーツステアリングも標準装備される。上位エンジン搭載車には、Mスポーツブレーキも装着。Mスポーツ・プロエディションやMパフォーマンスといった上級仕様も選択でき、その場合はアダプティブダンパーがついてくる。

テスト車のM440iは、Mパフォーマンスに分類されるグレードで、トルクベクタリング機能を持つ電子制御のリアディファレンシャルも標準装備。これは、430iと430dにもインストール可能だが、有償オプションとなるアイテムだ。

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