【詳細データテスト】BMW 4シリーズ 速さも燃費も上々 アダプティブダンパーの乗り味も上々 見た目とサウンドは改善を希望

公開 : 2021.01.17 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

「やがて直6FRベースのミッドサイズクーペは、M仕様でしか買えなくなります」。もし20年前にこんな予言をしたら、BMWファンはさぞかしザワついたことだろう。

現行4シリーズは、それがついに現実となったはじめてのモデルだ。そうはいっても、ファンを裏切ったわけではない。四駆は安定した走りに不可欠な要素で、重量は増してしまうが、運動性能を鈍らせてはいない。期待通り、その身のこなしは間違いなくこのクルマの売りだといえるものになっている。

4WDになっても、FR的なフィールやアジリティは健在。重量増の弊害も感じられない。それでいて、全天候型の安定性も兼ね備える。BMW製クーペの美点は、しっかり息づいている。
4WDになっても、FR的なフィールやアジリティは健在。重量増の弊害も感じられない。それでいて、全天候型の安定性も兼ね備える。BMW製クーペの美点は、しっかり息づいている。    MAX EDLESTON

M440i xドライブは、3シリーズの同等グレードに比較して、ボディコントロールはやや動揺が少なく、ハンドリングのレスポンスは鋭い。念のためにいっておくが、比較対象のM340i xドライブは、クラスベストのハンドリングカーと目される一台だ。

速さを追ったBMWすべてに共通することだが、このクルマも精度の高さを最優先している。思った通り、先代モデルならテールを振り回して楽しめたような状況でも、スタビリティとトラクションに優れ、足取りは確かだ。安定していて、それでいて思わず夢中になるような走りもみせてくれる。このクラスでも、そんなクルマはめったにない。

また、競合する4WDのクーペやセダンと異なり、本当に後輪駆動のようなフィールの持ち主だ。パワーオンでコーナリングや取り回しができて、現代のクルマの多くより根本的におもしろみで勝るハンドリングを堪能できる。

スポーツカーと呼べるアジリティには僅かに及ばず、純粋なドライバーズカーほどステアリングフィールが鮮明でなかったのは残念だ。それでも、運動性はかえってスポーツカーより懐が広い。

毎日乗れて、全天候性があり、ハイスピードでの長距離ツーリングも楽にこなせるスタビリティを備えている。BMWのクーペに欠かせない要素が、このクルマにも息づいているということにほかならない。

それには、サスペンションのセッティング、とくにアダプティブダンパーの貢献が大きい。これまで試乗したパッシブダンパー仕様の4シリーズより、今回のテスト車は乗り心地が穏やかで、快適性で勝っている。それでいて、フロントエンジンのスポーツカー的なグリップとハンドリングの安定ぶり、そして走りの楽しさも味わえるのだ。

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