【詳細データテスト】スズキ・アクロス 高効率の電費 優れた燃費 実用重視ながら高いシャシー性能

公開 : 2021.04.17 20:25  更新 : 2021.05.10 05:10

トヨタRAV4のOEMとなるスズキ初のPHEV、アクロス。スタイリングは供給元より無難ですが、完成度の高いシャシーや高いエネルギー効率、優れた実用性はそのまま。ネックとなる要素は、価格の高さだけかもしれません。

はじめに

スズキの新型車であるアクロスは、既に販売されているある中型電動SUVに、あまりにも似ている。トヨタRAV4PHEVモデルだ。といっても、デザインを盗用したというような話ではない。これはバッジエンジニアリングモデルなのだ。OEMと言ったほうがわかりやすいだろうか。

お気づきかもしれないが、スズキのように規模が小さい日本車メーカーは、現在の欧州市場では苦境に立たされている。その主な理由は、厳しい排ガス規制により、利幅の小さい小型車にも高価なエミッション対策技術の搭載が必要だからだ。

テスト車:スズキ・アクロス 2.5 PHEV E−Four CVT
テスト車:スズキ・アクロス 2.5 PHEV E−Four CVT    OLGUN KORDAL

ダイハツは2013年に欧州市場から撤退しているし、スバルはその瀬戸際にある。つい先日、英国三菱が歴代モデルのコレクションをオークションにかけたニュースが流れたが、これも撤退に向けた身辺整理の一環だ。

しかし、スズキは踏みとどまった。この決断に、2019年にトヨタが株式の5%を取得し、モデル共有の準備が整ったことの影響は大きいだろう。プラグインハイブリッドのアクロスだけでなく、ハイブリッドのカローラ・ツーリングもスウェイスとして販売されている。

もちろん、自社開発モデルも引き続きラインナップされている。ヴィターラ(エスクード)、Sクロス、イグニスにスイフト。ただし、どれもハイブリッド仕様だ。そのため、エンジン単体モデルしかないジムニーは、取り扱い車種から外れてしまった。とにかくCO2排出量を引き下げるのが、メーカーにとっての急務だからだ。

というわけで、今回のロードテストは一石二鳥だ。スズキが必要に迫られて新たに進もうとしている方向性を探ると同時に、トヨタRAV4 PHEVの実力も推し量れるのだから。

関連テーマ

おすすめ記事