【ブリヂストンが動いた】SUV用銘柄を再編 オンロードを担うアレンザ・シリーズを試す

公開 : 2021.06.15 06:45  更新 : 2021.10.18 23:45

ブリヂストンがSUV用タイヤを再編成。ハリアー、アウディQ5で試すのは、オンロード向けシリーズ「アレンザ」。快適志向の「LX100」、スポーティな「001」をテストします。

ONはアレンザ、OFFはデューラーに

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Yoshihisa Miyazawa(宮澤佳久)

今や、セダンやワゴンに代わって乗用車の標準となりつつあるSUV。

普及に伴い細分化が進み、本格オフローダーから、SUVを外観デザインのモチーフにしたモデルまで様々だ。

この春に登場したブリヂストン・アレンザLX100は、快適性を重視したプレミアムSUV専用設計タイヤ。
この春に登場したブリヂストン・アレンザLX100は、快適性を重視したプレミアムSUV専用設計タイヤ。    宮澤佳久

SUVの用途が多様化すれば求められるタイヤの性能も多様化して当然。

ブリヂストンから登場した新ブランドとしてアレンザ系に追加された「アレンザLX100」も、多様化する用途に対応したタイヤである。

アレンザはオンロード用途に特化したSUV用タイヤとして、オンロードでのグリップ・操安性を重視した「アレンザ001」を展開していた。

SUV用ポテンザと言っては尖りすぎたイメージだが、要するに高速・山岳路での操安の向上が特徴。

一方、新登場の「アレンザLX100」もオンロード向けに開発さているが、重視されたのは快適性。とくに静粛性にこだわっているのが特徴。前述の「001」同様の比喩ならSUV用レグノとしてもいいだろう。

なお、ラインナップ上は、デューラーH/L850が「LX100」の前モデルに当たる。

H/L850はオンロード用途向けのH/T(ハイウェイテレーン)規格のタイヤだが、アレンザ系の「LX100」が登場したためラインナップから整理され、デューラー系はA/T001(オールテレーン)とM/T674(マッドテレーン)の2ブランド構成に。

オンロード特化の「アレンザ」、悪路用途向けの「デューラー」の2基軸戦略となった。

新登場「アレンザLX100」とは 

デューラーH/L850は、SUV用タイヤのバリエーションとしてオンロードウェルバランスの設計。

オンロード向けSUV用タイヤでは、操安性重視の「アレンザ001」に対して快適性重視のH/L850として棲み分けていた。ちなみに「H/L」はハイウェイ/ラグジュアリーの意味であった。

SUV用タイヤの銘柄は、これまでオン/オフの両カテゴリーに「デューザー」がラインナップされていたが、オンロード向けの「アレンザ」、オフロード向けの「デューラー」に2軸化。
SUV用タイヤの銘柄は、これまでオン/オフの両カテゴリーに「デューザー」がラインナップされていたが、オンロード向けの「アレンザ」、オフロード向けの「デューラー」に2軸化。    宮澤佳久

とは言え、「LX100」が登場した今振り返れば、H/L850はプレミアムSUVにも相応しいというレベルでしかない。対して「LX100」はプレミアムSUVのプレミアム性を際立たせるのだ。

その核になるのが静粛性。タイヤの走行騒音は、ブロックの角と路面、あるいは接地面と路面凹凸の接触で発生する“打音”と、接地部/非接地部の溝部断面積変化による“吸排気音”に大別できる。

「LX100」では、前者をトレッドパターンやコンパウンドとサイプ、後者をダブルブランチ型消音器を用いた3Dノイズ抑制グルーブにより低減を図っている。

また、耐摩耗性の向上を図るとともに、摩耗時のパターンノイズ増を抑制。快適長持ちも設計要点の1つである。

なお、「LX100」に採用されている技術の大半はすでにレグノに展開されているが、トレッド面弾性に合わせてサイドウォール部を重重量・高重心のSUV専用にチューニング。

タイヤの骨格に当たるケースを専用開発するなど、操安性と乗り心地の向上にも注力した設計だ。

記事に関わった人々

  • 宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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