【S660と運命をともに?】コスパ良くない軽スポーツ コペン/アルトワークス今後どうなる?

公開 : 2021.06.18 17:10  更新 : 2021.10.22 10:07

ホンダS660は生産を終了。必ずしもコストパフォーマンスの良くないコンパクトスポーツが生き残るか否か解説します。

S660は販売台数少なく、法規対応も困難

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

2020年度(2020年4月から2021年3月)の国内新車販売状況を見ると、軽自動車が38%を占めた。

国内販売ランキングの上位にも、Nボックススペーシア、タントなどの軽自動車が多い。

ホンダS660(法規対応せず生産を終了した)
ホンダS660(法規対応せず生産を終了した)

好調に売れるカテゴリーだから、タフトのような新型車も投入されている。

その一方で、生産を終える軽自動車もある。

最近はスポーツカーのS660が受注を終了した。生産は2022年3月まで行う予定だが、S660は生産台数が少ないため、すでにすべての生産枠を売り切った。

S660が生産を終えた理由は、各種の法規対応が困難になったからだ。

今後は衝突被害軽減ブレーキを搭載せねばならないが、S660が採用するのは赤外線レーザーを使った低速用のみだ。このほかタイヤが発するノイズを含めた騒音規制、衝突安全基準の達成なども求められる。

この時に重視されるのが売れ行きだ。

大量に売られるクルマなら、コストを費やしても改良をおこなって法規に対応させるが、販売の低調な車種は難しい。改良をおこなっても、それに見合う売り上げが得られない可能性もあるからだ。

S660の2020年度における届け出台数は、1か月平均で234台であった。Nボックスは1万6492台だから、S660は1.4%に過ぎない。これでは対応が難しく、生産を終えることになった。

S660よりも古いコペンは生き残っている

軽自動車は薄利多売の商品だ。

S660の価格は全グレードが200万円を上まわり、軽自動車では高価な部類に入るが、開発や製造のコストはそれ以上だ。

ダイハツ・コペン(左)とホンダS660(右)
ダイハツコペン(左)とホンダS660(右)

エンジンをボディの中央に搭載するミドシップレイアウトで、サスペンションなども含めて独自の設計になる。

そうなるとコストが高騰するから、1か月平均の届け出台数が200台少々では採算を取りにくい。

ちなみに2015年にS660が発売された時の販売目標は、1か月当たり800台だった。それが実際の月販平均台数は、現在の200台少々を含めると約450台に留まる。これらの事情から、S660は法規に対応して売り続けるのが困難と判断された。

このようにクルマの開発は、売れ行きによってシビアに判断される。とくに1台当たりの粗利が低い軽自動車は、この傾向が強い。

軽自動車のクーペとしては、S660のほかにコペンもある。現行コペンの登場は2014年だから、2015年のS660よりも古い。

2020年度の届け出台数は、1か月平均で245台だからS660とほぼ同じだ。

そしてコペンは衝突被害軽減ブレーキを一切装着しないので、今後の法規対応はS660と同様に難しい。

S660の開発者からも「ダイハツさんは、コペンにどう対処するのだろうか」という声が聞かれた。

ダイハツの販売店に尋ねると「コペンに関しては、メーカーからは何も聞いていない。従来どおり注文も入れられる」という。S660が終了した今、コペンは貴重な軽自動車のクーペだ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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