【詳細データテスト】フォード・マスタング・マッハE 長い航続距離 遊べるシャシー 愛すべきEV

公開 : 2021.07.03 20:25  更新 : 2021.07.08 13:04

内装 ★★★★★★★☆☆☆

ダッシュボードに設置されたスタートボタンを押すと、穏やかだが強い拍動のような音が響く。トップガン・アンセムの最初に、これとよく似た音が響くのだが、おそらくフォードが意図的に似せたのだろう。

マスタングのロゴが鎮座するステアリングホイール越しに前を見ると、一般的なメーターパネルがあるだろう位置に据え付けられたスリムなデジタルディスプレイの速度表示に、対地速度などと航空機のような説明が添えられているのだ。内装のこの辺りを担当した開発者が、80年代の大ヒット戦闘機映画を観たことがないと言っても、信じることはできない。

基本構造は大部分がフォーカスと共通だが、見栄えは大きく変えられている。殺風景な感じもするが、広さやエルゴノミクスにはほぼ満足できる。
基本構造は大部分がフォーカスと共通だが、見栄えは大きく変えられている。殺風景な感じもするが、広さやエルゴノミクスにはほぼ満足できる。    OLGUN KORDAL

マッハEは、V8のマスタングほど、時代の空気を最大限に利用しようとしているわけではないが、表面的にはそう見えるところがある。それを目障りだと思うひとがいるかもしれないが、われわれにいわせれば無害なにぎやかしにすぎない。

はっきり言ってしまえば、コクピット周りの基本構造は多くがフォーカスからの流用だ。しかしフォードは、自社初の本格EV専用モデルの重要性を踏まえ、お色直しを施した。

結果、明らかに既存品だとわかるのはいくつかのスイッチだけとなった。それでも全体を見回せば、ポールスター2のようなマテリアルの多彩さや質感の水準には届いていない。

たしかに、硬いプラスティックが剥き出しの部分は、フォルクスワーゲンID.4より少ないし、ステッチの入ったレザーらしきシートや織物の張られたダッシュボードのトリムは、フォードの一般的なレベルより質感が高い。価格を考えれば妥当な線だ。

しかし、運転席周りがこのクルマのハイライトとなることはまずないだろうと思わされる。フィッティングもフィニッシュも一様に優れているわけではなく、見た目は殺風景だ。

エルゴノミクス的にはおおむね良好だが、電動シートはチルト方向の調整が欠如している。これは体験すると、言葉で聞くよりイライラするものだ。また、サイドサポートも控えめだ。

少なくとも、広さは前後席とも十分。これはフロントシートの背後がえぐられ、リアのレッグルームを稼いでいることにもよる。ヘッドルームも掛け値なしにかなりのもので、これは見た目以上に高いルーフラインの恩恵。パノラミックルーフにより、キャビンは光に満ちている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォード マスタングの人気画像