【モンデオ級の主力車種】フォード・クーガ 2.0エコブルーMHEVへ試乗 光るシャシー性能

公開 : 2021.10.12 08:25

欧州では根強い人気のディーゼルSUVに、マイルドHV版が登場。フォードらしい優れたシャシーを備え、選択肢の上位に入ると英国編集部は評価します。

現在ではモンデオ級の主力モデル

執筆:Piers Ward(ピアス・ワード)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォードの中型SUV、クーガは、ブランド内で最も電動化技術が進んでいる内燃エンジン・モデルになる。欧州のフォードでは、かつてのモンデオへ匹敵する主力モデルになっているから、クーガの電動化が重要なことは明らかだ。

純EVのクロスオーバー、フォード・マスタング・マッハEも販売されている。だが、CO2の排出量はメーカーとして少しでも減らしたいところだろう。

フォード・クーガ 2.0エコブルーMHEV STライン Xエディション(英国仕様)
フォード・クーガ 2.0エコブルーMHEV STライン Xエディション(英国仕様)

通常の内燃エンジン版のほか、今回試乗したマイルド・ハイブリッド(HV)のほかに、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)、プラグインではないHVと、電動化の内容は幅広い。マイルドHVの場合は、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれる。

最大5.1kg-mのトルクを発生するISGのアシストは、エンジンのトルクカーブを最適化するように設定されている。前方の信号機が赤の場合など、アクセルオフでの惰性走行時には、積極的にエンジンを休止させることにも役立つ。

エンジンの再始動がスムーズな点も、うれしいポイント。まあ、それは燃費には直接関係ないけれど。

今回のマイルドHVのクーガは、2.0Lの4気筒ディーゼルターボ・エンジン仕様。システム総合で最高出力150psと最大トルク37.6kg-mを得られ、カタログ燃費は19.6km/Lがうたわれる。

比較的長い距離を、市街地と郊外の複合的な条件で試乗した今回の場合、18.5km/L前後の数字が示されていた。CO2の排出量は133g/kmでライバルモデルと同等だが、目立って訴求力のある数字とはいえないだろう。

静かで太いトルクの2.0Lディーゼル

マイルドHVが本格的なハイブリッドより有利な点は、大容量のバッテリーを搭載しないため、車重が大きく増えないということ。クーガのPHEV版では車重は1844kgもあるが、2.0エコブルーMHEVの場合は1680kgと、160kg以上も軽い。

試乗車のトリムグレードはSTライン Xエディションで、英国のトップグレードとなるヴィニャーレの1つ下。それでも、シートはレザー張りでリア側にもヒーターが入り、バング&オルフセン社製の高音質スピーカーも備わる。

フォード・クーガ 2.0エコブルーMHEV STライン Xエディション(英国仕様)
フォード・クーガ 2.0エコブルーMHEV STライン Xエディション(英国仕様)

インフォテインメント・システムは、ステアリングホイールのスポークに配されたボタンを利用することで、操作しやすくなる。スマートフォンを利用したコネクティビティにも対応する。ボタンの数は少々多すぎる印象だが、手元にあって便利なことは確かだ。

2.0Lディーゼルターボの場合、トランスミッションは6速MTのみ。ATがご希望なら、1.5Lディーゼルなどのクーガを選ぶことになる。ATのレシオはロングで、ディーゼルの低回転域を中心とした性格にぴったりだ。

エンジンは冷間時のアイドリングでも静か。だが60km/hから100km/hくらいの加速は、積極的に変速しなければ、充分な鋭さは得にくい。一旦高速域に乗ってしまえば、110km/h前後での巡航はトルクを活かして6速で余裕にこなせる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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