【詳細データテスト】BMW 5シリーズ 高い完成度 動力性能と燃費を高次元で両立 個性は不足気味

公開 : 2021.10.30 20:25

内装 ★★★★★★★★★☆

G30世代の5シリーズがドイツ・ディンゴルフィング工場で生産されはじめてから、もう5年が過ぎた。しかしインテリアに、その時間の流れを感じさせる残念な箇所はほぼ見つけられない。

広さも、ソリッドさも、落ち着いた雰囲気も、今見てもまったく損なわれていない。念入りに磨かれたエルゴノミクスと大人がゆったり寛げるスペースを備えたサルーンで、適材適所にデジタルデジタル技術を使用し、目の届く限りどこもかしこも質感が高い。

はじめて乗り込んでも、重要な操作系はすぐに把握できるのがBMWの室内レイアウトの美点。タッチパネル依存度が低く、実体スイッチが十分に備わっていることも、操作性を高める要素となっている。
はじめて乗り込んでも、重要な操作系はすぐに把握できるのがBMWの室内レイアウトの美点。タッチパネル依存度が低く、実体スイッチが十分に備わっていることも、操作性を高める要素となっている。    LUC LACEY

テスト車はブラックとアイボリーの2トーンで仕上げたダコタレザーや、ピアノブラックのパネル、サテン仕上げのクロームトリムが、一切の矛盾を感じさせずに張り巡らされている。レザーがやや硬く退屈な感じなのは唯一残念なポイントだが、これはオプションで上質なものに変更することが可能だ。

5シリーズは中型高級セダンとしては大柄で、とりわけ幅は広い。だが、そのぶん室内には広がりが感じられる。アバンギャルドなデザイナーズキッチンより、スマートなオフィスを思わせるキャビンだが、走行モード選択やインフォテインメントシステムなど、さまざまな機能や装備を操作するスイッチ類はハイクオリティ。しかも使いやすい。

それゆえ、タッチディスプレイのメニューに、ラジオのチューニングやデフォッガーのオン/オフといった、すぐに使いたい機能を探し回ったり迷ったりすることはまずない。また、デジタル技術を用いた箇所は、その使い方がうまい。キャビンの収納スペースも数多く用意されている。

ドライビングポジションは最高だ。高級セダンとしては低く、それでいて視界は良好で、快適性も申し分ない。操縦系の配置は完璧で、ドライバーズシートへ座った途端にすべてが操作できる。

テスト車のフロントシートは、横方向のサポートが控えめだったが、このクルマの役割にはピッタリだ。楽に乗り降りできて、座面の角度と長さを変えることができて、背もたれの角度と肩のサポートが別々に調整できる。さまざまな体型のドライバーが、快適に乗り続けられるシートになっている。

後席は、大人ふたりが快適に過ごせる広さだが、3人乗ることもできる。シートの下に駆動用バッテリーを積んでいながら、室内にその影響はまったく出ていない。パワートレインのレイアウトの弊害が出ているのは荷室だ。トランクルームのフロアは、エンジン単体の5シリーズより高い。

もっとも、開口部より上に飛び出すほどではないので、後席を倒せば長尺物も楽に積める。容積も410L確保されている。ただし、あまりにもかさ張る荷物は積みにくそうな形状になってしまっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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