【詳細データテスト】BMW 5シリーズ 高い完成度 動力性能と燃費を高次元で両立 個性は不足気味

公開 : 2021.10.30 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

545eのハンドリングは、現在のBMWに期待されるとおり、整っていて正確な、ニュートラルで安心感のあるものだ。とはいえ、BMWの水準からすれば、スポーティさや走り志向のテイストに溢れるとはいえない。

これは円熟味のある、運転が楽しいクルマだ。グリップやトラクション、精密さや安定感は、ちょうどワインディングロードを走りたいような気にしてくれるくらいにとどまり、BMWのスポーティな中型サルーンとしては熱中度や一体感が十分とはいえない。

ハンドリングはまずまず良好なのだが、BMWのレベルとしては物足りない。その原因は、中途半端なセッティングのサスペンションと、ランフラットタイヤにありそうだ。
ハンドリングはまずまず良好なのだが、BMWのレベルとしては物足りない。その原因は、中途半端なセッティングのサスペンションと、ランフラットタイヤにありそうだ。    LUC LACEY

その一因は、2tほどもある車両重量だろう。ボディコントロールはじつにみごとだが、それでも重さの影響は否定できない。そして、4WDシステムにも原因がありそうだ。しかし、テスト車に関しては、仕様によるところも大きい。

通常のMスポーツであれば、19インチホイールと通常タイヤの組み合わせだが、BMWが用意した広報車はオプションのMスポーツ・プロパッケージを装備。これをほしがるユーザーもいるだろう20インチホイールに装着されるタイヤはランフラットとなる。

また、コイルスプリングはノーマルのままで、アダプティブダンパーを組み合わせる。ほかのモデルであれば、ローダウンスプリングとアダプティブMサスペンションがセットされるところだ。

とはいえ、では545eのベストハンドリングな仕様はどれかと問われても、それをはっきり答えるのは難しい。テスト車は、コーナリング時のボディロールが、われわれの好みよりやや大きいし、ロックトウロックが3回転近いステアリングのレスポンスは鋭さがちょっと足りない。

絶対的なグリップレベルとコーナリング中のシャシーバランスはともによく、スピードが出ていても車体の位置極めに自信が持てる。ところが、ランフラットタイヤでは柔軟性が足りず、荷重が大きくなっても十分に粘れない。このタイヤでは、ステアリングフィールもインフォメーションに富んだものとはならず、切りはじめの入力に対してやや無感覚なところも出てしまう。

結果として、この545eは速度を上げればバランスがよく、なめらかで有能なクルマなのだが、G30型5シリーズのラインナップでもっとも魅力的な仕様ではなく、運動性能がもっとも優れるモデルにもなっていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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