【詳細データテスト】BMW 5シリーズ 高い完成度 動力性能と燃費を高次元で両立 個性は不足気味

公開 : 2021.10.30 20:25  更新 : 2021.11.05 02:40

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

545eのメカニズムは、530eと共用する部分も少なくないが、一致しない点もある。4気筒ハイブリッドと異なり、こちらは4ドアセダンのボディと高度な4WDシステムであるxドライブのみが設定されている。

パワートレインの電動部分は、530eとまったく同じで、これは残念だった。交流同期モーターの性能は108ps/27.0kg-mで、530eからの上積みはない。搭載位置はエンジンと8速ATとの間で、電子制御クラッチと協調してトルクコンバーター代わりの機能も果たす。

Mスポーツ・プロ仕様のフロントグリルはブラックアウトされる。オプション非装着車はクロームなのですぐに見分けがつくポイントだが、テスター陣からは不評だった。
Mスポーツ・プロ仕様のフロントグリルはブラックアウトされる。オプション非装着車はクロームなのですぐに見分けがつくポイントだが、テスター陣からは不評だった。    LUC LACEY

駆動用のリチウムイオンバッテリーは、リアシートの下に配置。電圧は354Vで、実用容量は10.8kWhと、これも530eと変わらない。EV走行可能な距離は、公称値が最大53km。5〜6万ポンド(約700〜840万円)級のPHEVなら、80km近くEV走行できるものもあるので、このクルマのEVモードは有力なセールスポイントとは言い難い。

しかし、2998ccの直6ターボは違う。ライバル車が軽量で低燃費の4気筒を積むものばかりなので、286ps/45.9kg-mの6気筒は存在感が際立つ。

英国市場では、SEとMスポーツの2グレードを展開する。効率重視であればSEを選びたい。18インチホイールを標準装備するそれは、CO2排出量が40g/kmというデータをマークしている。

いっぽうのMスポーツでは、オプションパッケージのMスポーツ・プロがチョイスできる。これはアダプティブダンパーや20インチのホイールとランフラットタイヤのセットで、テスト車はこれを装備していた。その場合、EV走行距離は47kmにダウン。英国では課税率が上昇してしまう。

テスト車のウェイトは、実測2046kg。カタログ値を101kg上回るが、もちろんこれはオプション満載の仕様だからだ。このクラスの電動化セダンなら、今日日もう少し軽くできそうなものだが、重量配分はすばらしい。前後差は、たったの2kgだったのだから、ほぼ等分だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

BMW 5シリーズの人気画像