フォルクスワーゲンID.3 ピュア・パフォーマンス45kWhへ試乗 シンプルが1番

公開 : 2021.11.24 08:25

VWの主力純EV、ID.3のエントリーグレードへ英国編集部が試乗。航続距離や経済性を高く評価しています。

価格とトリムグレードを見直し

執筆:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲンとして初となる、量産車の純EVがID.3。英国での販売が始まったのは、既に1年半も前のことだ。

走行時の静かさや運転のしやすさが特長だが、マックスにツアー、テック、ファミリー、スタイルなど多くのトリムグレードが存在し、どれを選ぶか悩まれた方も多いだろう。さらに純EVで大切な性能といえるのが、1度の充電で走れる航続距離だ。

フォルクスワーゲンID.3 ライフ・ピュア・パフォーマンス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.3 ライフ・ピュア・パフォーマンス(英国仕様)

ID.3のパワートレインの構成には、ピュア・パフォーマンスにプロ、プロ・パフォーマンスなどがあり、駆動用バッテリーとモーターとの組み合わせで、パワーと航続距離が変わってくる。金額も変化するが。

ところが、悩んで決めてた殆どのID.3は金額が高すぎ、英国政府補助金の対象となる3万5000ポンド(約539万円)を超えてしまっていた。2500ポンド(約38万円)の支援を受けることができなかった。

フォルクスワーゲンも、それを問題視していたのだろう。2022年モデルのID.3は、全体的に価格帯が見直されている。パワートレインの組み合わせは複雑なままとはいえ、補助金対象のなかで、理想的なID.3を選べるようになった。

ID.3のトリムグレードは、シティとビジネス、ツアーの3つがライフに吸収され、シンプルに再構成。パワートレインの組み合わせは4種類あるが、3万5000ポンド(約539万円)以下で選べるID.3の構成は、合計7種類あることになる。

スチールホイールに45kWhの駆動用バッテリー

オプションレスの状態でも、ID.3 ライフ・グレードの内容は充実している。だが、オプション・パッケージとして英国では5種類から選べ、それぞれにプレミアムなプロ仕様が別に設定されている。

結局、理想のID.3を選ぶのに一晩くらいは掛かりそうだ。少なくとも、ボディカラーとホイール・デザインを選ぶのは、思いのままでいいだろう。

フォルクスワーゲンID.3 ライフ・ピュア・パフォーマンス(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.3 ライフ・ピュア・パフォーマンス(英国仕様)

今回試乗したのは、2022年から英国へやってくるエントリーグレードに当たる、ライフ・ピュア・パフォーマンス。英国政府の補助金を引けば、2万7120ポンド(417万円)という価格のID.3になる。

最高出力は150psと、最近の純EVとしては控えめ。18インチ・ホイールはスチール製になるし、駆動用バッテリーの容量も45kWhへ小さくなる。試乗車は写真の見栄えを良くするため、650ポンド(10万円)のオプションとなるアルミホイールを履いていたが。

シートはファブリック張りだが、耐久性は高そうだし、仕立ては良い。長距離も充分快適に過ごせそうな形状だと思う。リアシート側の空間も広々としている。ほかのグレードのID.3と同様に。

ダッシュボードにはインフォテインメント用モニターがあり、デジタル世代も魅力を感じるはず。ドアを開くと、足元を照らしてくれるライトも付いている。うっかり水たまりへスニーカーを突っ込まずに済む。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事