ホンダHR−V 詳細データテスト 質感や経済性は良好 シャシーは優秀 パワートレインは力不足

公開 : 2021.12.04 20:25

走り ★★★★★★☆☆☆☆

先代のi−DTECこと1.6Lディーゼルはよかった。その理由は、パフォーマンスではない。0−97km/hが約11秒というのは、2015年当時でも遅かった。もちろん、6年経った現在ではさらに遅く感じる。とはいえ、この旧世代エンジンはディーゼルのよさが存分に出ていて、このクルマの役割にピッタリだった。

新型のガソリンハイブリッドは、旧型ディーゼルほどトルクはないが、0-97km/hでは先代を上回る9.2秒を計測した。これはわかりやすい改善項目だ。駆動用モーターのおかげで、スロットルレスポンスも向上している。

穏やかに走っていれば洗練されたクルマだが、絶対的な速さは物足りず、全開にしてもCVTのラバーバンドフィールに悩まされ、スポーティさは感じられない。
穏やかに走っていれば洗練されたクルマだが、絶対的な速さは物足りず、全開にしてもCVTのラバーバンドフィールに悩まされ、スポーティさは感じられない。    JOHN BRADSHAW

適切にペダルを踏み込めば、モーターの推進力はきわめてささやかな加速をもたらすのみで、すぐに消え去り、中回転域でエンジンが目を覚ます。しかし、ほとんどのオーナーが日常使いするときのような運転であれば、そのわずかな間にみせるレスポンスのよさで十分満足できるだろう。

負荷が軽ければ、エンジンの洗練度もかなりのものだ。先代のディーゼルはもちろん、ガソリンモデルをも凌いでいる。速度域の低いルートなら、エンジンの始動も停止もそうとは気付かせないように行われる。HR−Vのようなクルマに、このパワートレインはマッチしている。

このクルマが叶えられていないのは、ホンダが宣伝するスポーティさが実現できていないことだ。1.2L直3を積んで価格は同じくらいの2008なら、1秒ほど早く97km/hに到達する。2.0Lマイルドハイブリッドのe−スカイアクティブXを積むCX−30もまたそうだ。

そして、このクルマに、客観的なデータが示すライバルへの遅れだけでなく、主観的な部分でも不満を感じるのであれば、パワートレインが発揮する131psと25.9kg-mをいつもフルに引き出し続けなくてはならない。

パワーデリバリーは電気式CVTに規定されてしまい、エンジンは高回転でうるさく回り続ける。ノイズの大きさと加速の具合はまったく釣り合わず、それがいっそう、クラス最速レベルのクルマたちに比べて遅く感じさせて、フラストレーションを覚える。

反対に、テスター陣が好意的に受け止めた要素は、ステアリングホイールに取り付けられたパドルで調整する、回生ブレーキのセッティングの幅広さだ。このパドルは使いやすく、パワートレインが快適な領域にあれば、このクルマを穏やかでバランスのいいものに感じさせてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。

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