【詳細データテスト】アルピーヌA110 標準車+αのパワーと足回り より高速向き 高まった満足度

公開 : 2022.03.19 20:25  更新 : 2022.03.27 16:43

内装 ★★★★★★★☆☆☆

もしも日常使いしやすいことを理由にレジャンドグレードを選んだひとならば、レジャンドGTの室内にそれほど多くの違いを見出せないだろう。マーキュリーシルバーのテスト車は、ブラックのレザーにグレーのステッチが入った、通常モデルのレジャンドと同じコンフォートシートが装着されているからだ。

また、ボディ同色のドアパネル上部も、艶のあるカーボンのデコレーションも、これ以外の仕様のA110でおなじみ。違いといえば、特別なシルプレートと、センタースタックの付け根に据え付けられたシリアルナンバー入りのプレートくらいだ。どうみても、このインテリアに新鮮さや明確な違いは見出せない。

限定車とはいえ、通常モデルとそう大きな違いはないインテリア。スポーツカーとしてはかなり快適な部類だが、この手のクルマにありがちな不便さを感じる部分もある。
限定車とはいえ、通常モデルとそう大きな違いはないインテリア。スポーツカーとしてはかなり快適な部類だが、この手のクルマにありがちな不便さを感じる部分もある。    JON BRADSHAW

とはいえ、座るとしっくりくるサベルト製の電動コンフォートシートに文句はない。よくできた形状で、ランバーサポートやクッション長のアジャストはないのだが、それでも長距離乗っていてさえ快適に身体を支えてくれる。

運転姿勢をとると、主要な操縦系の配置は上々だ。ただし、二次的な操作系は、そこまでうまくレイアウトされていない。2017年のデビュー当時からかなり否定的な意見が寄せられているのが、シフトパドルをステアリングコラムに設置したことだが、そこはいまだに変更される気配がない。しかも、オーディオリモコンを避けるために上のほうへずらされているので、自然に指を伸ばしても届きにくい。

ワイパーとウインカーを操作するコラムレバーのデザインについても、再考されてはいなかった。レバーの先、表示がプリントされたところも回して操作する部分も、ちょうどステアリングリムに隠れてしまうくらいの長さなので、ヘッドライトを点けっぱなしにしていないか確認するには、首を曲げてのぞき込まなくてはいけないのだ。

デジタルメーターは明るいが、鮮明さにかけるので、やや古臭い感じがする。タッチ画面式のインフォテインメントシステムも同様で、さらにはややわかりにくいところもあるが、必要とあれば有益な情報を数多く提供してくれるのはありがたい。それについては、後ほど詳しく説明しよう。

積載面の実用性は、ポルシェケイマンに容量で後れをとるが、これほどコンパクトなスポーツカーとしてはなかなかの健闘ぶりだ。リアにはヘルメットふたつ、もしくはふたり分の大きなバッグを詰め込める。フロントにも買い物やあまりかさばらないバッグは入るし、オプションの専用キャリーケースならふたつ収まる。

しかし、フロントトランクは、リモコンキーで車外から開けられないのがちょっと不便。また、大きいスーツケースを載せようと思ったら、助手席の足元以外にスペースはない。

しかし、それよりも日常的に不便を感じそうなのがセンターコンソールの設計だ。ドリンクホルダーの使い勝手を改善するか、まっとうなセンターアームレストを設置するか、できればその両方を望みたいところだ。そうは言っても、スポーツカーのコクピットとしてはかなり快適で、実用性は平均レベルに達している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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