あと10%磨きたい ジェネシスGV60 プレミアムへ試乗 EVクロスオーバーで欧州へ攻勢

公開 : 2022.05.30 08:25

韓国ヒョンデの上級ブランド、ジェネシスから純EVのクロスオーバーが初登場。英国編集部が評価しました。

ジェネシス・ディファレンスで欧州へ

トヨタレクサスに当たる、ヒョンデのジェネシスが欧州へ参入したのは2021年。ハイブリッドを載せない内燃エンジンのみのラインナップに、批判が挙がった。北米市場が前提のパワートレインだった。

今回試乗したGV60は、そんな意見に対する回答だ。ブランド初の純EVとして、欧州市場で最も競争の激しいセグメントに投入される。

ジェネシスGV60 RWD プレミアム(欧州仕様)
ジェネシスGV60 RWD プレミアム(欧州仕様)

ジェネシスの攻勢は終わらない。中型SUVのGV70と大型サルーンのG80にも、純EV版が年末までに登場予定。2025年以降に発売される新モデルには内燃エンジンが載らず、2030年には完全に純EVへ特化したブランドとなる計画だ。

ただし、この市場は新規参入が難しい。日産インフィニティで挑んだが、2019年に撤退を決めてしまった。

欧州でジェネシスを率いるドミニク・ボッシュ氏は、「欧州は最も要求の厳しい市場とみなされています。多くの準備がなければ、ここに来ることはありません」。とその意気込みを話す。

「ジェネシス・ディファレンス(ジェネシスの違い)」というキャッチフレーズで、欧州の人々を取り込もうと考えている。彼らが焦点を向けるのは、クルマだけでなく全体的な体験にある。

新車購入から所有期間までを対象とした、個々の要望に応えるパーソナル・アシスタントや、5年間のケアプラン、自宅での車両引き取りといったサービスがその1つ。明瞭な価格体系や、スタジオと呼ぶ先進的なディーラー展開も特徴となる。

目下、英国にあるジェネシスのスタジオは、ロンドンの1か所のみ。その数は徐々に増えるという。

システム電圧800V 360kWの急速充電

ジェネシスのもう1つの強みといえるのが、韓国の巨大メーカー、ヒョンデの一員であること。GV60の場合、E-GMPというプラットフォームを、評価の高いヒョンデ・アイオニック5キアEV6と共有している。

フラットなフロアに駆動用バッテリーが敷き詰められたスケートボード構造で、効率に優れ、車内空間も広く取れる。システムは電圧800Vで作動し、急速充電能力は360kWまで対応する。

ジェネシスGV60 RWD プレミアム(欧州仕様)
ジェネシスGV60 RWD プレミアム(欧州仕様)

全長は4515mmあり、ボディサイズもアイオニック5などと近い。ライバルを挙げるなら、アウディQ4 eトロンが筆頭だろう。

トリムグレードは、プレミアム、スポーツ、スポーツ・プラスという3種類が展開される。ベースグレードのプレミアムはシングルモーターの後輪駆動。残る2つは、ツインモーターの四輪駆動だ。

ジェネシスが展開する全体的な体験は、クルマ自体を補完する意味合いもあるはずだが、もちろんその実力もしっかり磨いている。欧州でシャシー開発を率いるのは、元フォードの技術者で、フォーカスRSにも関わったタイロン・ジョンソン氏だ。

現代の純EVらしく、シャシーは重心が低く、前後の重量配分も良い。そこへ、ヒョンデやキアとは異なる快適性や動的能力を融合させようとした結果がわかる。路面を確かに掴みながら、ボディロールを抑えつつ、鋭くコーナーへ侵入できる。

ステアリングには程よい重み付けが与えられ、ダイレクトで一貫した反応が得られる。もう少し手のひらに伝わるフィードバックがあれば、なお良いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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