ルノー・メガーヌE−テック・エレクトリック 詳細データテスト 乗り心地上々 ステアリングに難あり

公開 : 2022.12.03 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆

明らかにルノーは、この新たなメガーヌをスポーティなEVにポジショニングしていて、ステアリングをかなりクイックにセッティングしている。

最終形に近いプロトタイプを試乗した際には、デザイン部門のトップであるローレンス・ヴァン・デン・アッカーが、市販モデルのデザインはいずれ登場するパフォーマンスバージョンも想定しているとさえ語った。ところが、誰からもきわめて好意的に受け入れられたので、それが標準仕様のスタイリングとなったのだ。

メガーヌは俊敏なシャシーの持ち主だが、気の抜けたステアリングがスポーティさを損ねている。トラクションコントロールは切れないが、そうすることが必要だと思わされることはない。
メガーヌは俊敏なシャシーの持ち主だが、気の抜けたステアリングがスポーティさを損ねている。トラクションコントロールは切れないが、そうすることが必要だと思わされることはない。    MAX EDLESTON

しかし、英国の公道で走らせたメガーヌは、目指したスポーティさを十分には発揮できなかった。おそらくそう感じたのは、クプラボーンキア・ニロEV、MG 4などが基準を引き上げてしまったことも一因なのだが。

まず責められるべきは、クイックなステアリングだ。ロックトウロック2.2回転というのはたしかに速い。けれども、出来のいい可変レシオのステアリングラックであれば、取り回しでの操舵量を抑えながら、全体的にナチュラルなフィールをもたらしてくれる。

しかしながら、ルノーはどちらも最悪な固定レシオのラックを採用してしまった。曲がりくねった道では、ステアリングがナーバスで、スムースな入力を行うのはきわめて困難だ。しかも、奇妙な形のステアリングホイールは、90°切るにも手を動かさなくてはならない。

そのうえ、ステアリングはスポーツモードであってさえかなり軽く、フィードバックはこれっぽっちもない。

メガーヌが狙ったスポーティさを、ステアリングが台無しにしているのはじつに残念だ。というのも、シャシーが根本的に健全な出来栄えだからである。まずまずのグリップがあり、鋭いターンインを見せてくれる。ハンドリングサーキットでプッシュする際には、スロットルを抜くと、スタビリティコントロールが介入する前にマイルドな旋回に入るのが感じられる。

トラクションコントロールだけはオフにできるが、スタビリティコントロールは切ることができない。だが、どんな場合でも穏やかで、それ以外の部分はハードに走る気にさせるものではないので、あえてオフにする理由はないともいえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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