銘板復活 ルノーはなぜレトロなデザインを選んだのか 次世代EV、ソフトウェアの重要性とは

公開 : 2022.12.14 18:25

ルノー・グループのルカ・デ・メオCEOへインタビュー。ルノー復活をかけて送り出すレトロな次世代EV、ソフトウェア、財務について聞きました。

レトロデザインを採用する理由とは

ルノーは、今年10月に開催されたパリ・モーターショーにおいて、レトロデザインの次世代EVコンセプトを公開。ルノー4、5といったかつての銘板を蘇らせ、電動化に取り組んでいる。

アルピーヌもまた、水素燃焼エンジンのコンセプトカーを披露しながら、A110の後継となる電動スポーツカーの開発を進めている。ダチア(ルーマニアの自動車ブランド)はリーズナブルな価格帯を維持するべく、内燃機関と車体の軽量化に注力しつつ、ブランドイメージをモダンでレジャー色の強いものへ刷新した。

ルノー・グループのルカ・デ・メオCEO(10月のパリ・モーターショーにて)
ルノー・グループのルカ・デ・メオCEO(10月のパリ・モーターショーにて)    AUTOCAR

そんなルノー・グループをまとめるルカ・デ・メオCEOは、日産三菱との難しい提携関係を守りながら、激動の時代の中で黒字化への転換を進めている。AUTOCARは彼にインタビューを行い、近況を聞いた。

――ルノー4や5といった新型車で、ノスタルジックな路線を選んだ理由とは?

「どんなビッグブランドにも、どんなセグメントにも伝統があります。ルノーには、4、5、5ターボなどがあります。わたし達はブランドのルーツを振り返り、誰もが期待していることをやっているだけです。ルノーはEVの新興企業ではなく、120年の歴史があり、これを強みとして活用しなければなりません」

「新型5には、昔のモデルと同じような符号があると言えるかもしれませんが、実際はオリジナルとは何の関係もないものです。わたし達は、ルノーのブランドを再構築しようとしています。ルノーは一時期、『魂』を失っていたと言われています。ブランドを取り戻さなければならないのです」

――4、5、5ターボ以外にも、その再構築を助けるようなアイデアはあるのでしょうか?

「アイデアはあるのですが、当面は資金が足りないと思います。ターボでも、(生産にこぎつけるための)資金が必要なんです。わたし達の懐は深くありません。クラウドファンディングをやってみましょうか? きっと人が集まってくれるでしょうね」

――十分な資金が工面できるのはいつ頃でしょうか? また、ルノーにとって成功とはどのようなものですか?

「ルノーに必要なのは、2つの良いサイクルです。ルノーが抱えている問題は、好調なサイクルと不調なサイクルがあること。通常は、ルノー・クリオや5のような小型車の成功に大きく結びついていました。課題は、次のサイクルでは、単に成功したモデルを発売することとは別の行動が必要になるかもしれないということです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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