趣味性と実用性が融合 ポルシェ・パナメーラ(971型) 英国版中古車ガイド 走りは期待通り

公開 : 2023.01.05 08:25

ポルシェの4ドアサルーン、パナメーラ。動的能力と実用性、洗練性が融合し、期待を裏切らないと英国編集部は評価します。

2.9L V6に4.0L V8、PHEVまで多彩

実用性を高めたポルシェは、優れた評価を得るのに苦労することが多い。FRクーペの928や、SUVの初代カイエンには批判的な意見が少なくなかった。2009年に発表されたエグゼクティブ・サルーン、初代パナメーラも広く歓迎されたとはいいにくい。

特に肯定されなかったのが、911に似せた顔を持つズングリしたプロポーションだった。しかし2016年に登場した2世代目、現行の971型では大幅に改善。走りでも、メディアの反応は初めから上々だった。

ポルシェ・パナメーラ 4 Eハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ 4 Eハイブリッド(英国仕様)

そんな2代目パナメーラには、様々なエンジンが選択肢として用意されてきた。ガソリンでは2.9L V6ツインターボに3.0L V6ターボ、ターボS用の4.0L V8ツインターボまでラインナップ。欧州では4.0L V8ツインターボのディーゼルも2018年まで選べた。

さらに2.9L V6か4.0L V8のツインターボに駆動用モーターを組み合わせた、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も設定。2.9L V6の4S Eハイブリッドの最高出力はシステム総合で560psに達し、モーターだけで53kmの走行を可能としている。

4.0L V8のターボS Eハイブリッドでは、スーパーカーも驚く700psをシステム総合で発揮。駆動用モーターだけで走れる距離は49kmへ短くなるものの、勇ましいサウンドを撒き散らし、0-100km/h加速を3.2秒でこなせる。

優れたシャシーが生む充足の運転体験

もちろんポルシェとして、操縦性も磨かれている。ボディサイズが大きく重い、エグゼクティブ・サルーンだという先入観は良い意味で裏切られた。

やや重めのステアリングホイールはダイレクトで、操舵に対する反応も精彩。グリップ力も凄まじい。姿勢制御に優れ煮詰められたシャシーバランスで、ドライビング体験には大きな充足感が伴う。必要なら四輪操舵システムもオプションで選べる。

ポルシェ・パナメーラ 4 Eハイブリッド(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ 4 Eハイブリッド(英国仕様)

乗り心地は硬めでも、不快に感じることはない。スポーツモデルとして、引き締められたと表現できるレベル。追加料金のエアサスペンションなら快適性を高められるが、ノーマルのコイルサスでも過度に不安視する必要はない。そこまで大きな違いはない。

搭載するエンジンによってトリムグレードも変化するが、どのパナメーラでも装備は充実している。オートエアコンはもちろん、12.3インチのインフォテインメント用タッチモニター、レザーシート、クルーズコントロール、LEDヘッドライトなどが標準で付く。

インテリアは豪華に仕立てられ、フロントシート側は空間にもゆとりがる。クーペのリアシートは、センターコンソールが伸びた2名掛け。前後にも上下にも広さは充分あり、背の高い大人でも問題なく座れる。

シューティングブレークのスポーツツーリスモを選択すれば、リアが3名掛けになり実用性も高まる。ルーフラインのスタイリッシュさも魅力だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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