フェラーリ296 詳細データテスト 魅力的なサウンド 比類なきハンドリング 驚異のパフォーマンス

公開 : 2022.12.31 20:25

内装 ★★★★★★★★☆☆

コクピットは、296GTBより高価なSF90に似たものだが、そこまで彫刻的でもゆったりしたものでもない。モノコックがバブル的な空間をもたらす低いスカットルのアルトゥーラマセラティMC20、派手なシェルターのようなウラカンに比べれば、普通な感じがしてしまう。

とはいえ、スーパーカーとしては斬新なくらい大人っぽく、エルゴノミクスは真っ当だ。疑問を覚えるクロームトリムがひとつふたつあるが、贅沢なレザーも用いられ、質感は高い。ラグジュアリーとスポーティの絶妙な境界線上にあり、不便さを強いることなくエキサイティングさを醸し出している。

SF90に似たデザインだが、よりオーソドックスで、エルゴノミクスも優秀。ただし、ステアリングホイールに操作系を集中したフェラーリのレイアウトは、相変わらず扱いにくいことがある。
SF90に似たデザインだが、よりオーソドックスで、エルゴノミクスも優秀。ただし、ステアリングホイールに操作系を集中したフェラーリのレイアウトは、相変わらず扱いにくいことがある。    LUC LACEY

もちろん、好みに合わせて手を入れることは可能だ。アセット・フィオラノ仕様ではカーボン剥き出しのドアパネルや、サイドサポートの高いレーシングバケットシート、アルカンターラのダッシュボードや、ステアリングホイールのLEDシフトアップライトが備わる。タンレザーやアルミを用いた仕様よりかなりスパルタンになるが、296GTBはどちらのアプローチもしっくりくる。

どちらを選んだにしても、リアウインドウ越しの視界はすばらしく良好だ。ドライビングポジションはもう少しステアリングコラムのテレスコピック量がほしかったものの、快適な姿勢をとるのは容易で、常に四輪の正確な位置を直感的に把握できる。

気になる点はふたつ。まず、操作系をステアリングに集中させようとするフェラーリの傾向には、相変わらずいらだちを覚える。とくに、無駄を一切排したアルトゥーラのステアリングホイールを見た後では、余計にそれを感じる。

もうひとつが、室内の収納スペースが少ないことだ。とはいえ、これはスーパーカーの部類に入るクルマであり、SF90にはなかったフロントトランクも備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事