フェラーリ296 詳細データテスト 魅力的なサウンド 比類なきハンドリング 驚異のパフォーマンス

公開 : 2022.12.31 20:25  更新 : 2023.01.05 01:51

内装 ★★★★★★★★☆☆

コクピットは、296GTBより高価なSF90に似たものだが、そこまで彫刻的でもゆったりしたものでもない。モノコックがバブル的な空間をもたらす低いスカットルのアルトゥーラマセラティMC20、派手なシェルターのようなウラカンに比べれば、普通な感じがしてしまう。

とはいえ、スーパーカーとしては斬新なくらい大人っぽく、エルゴノミクスは真っ当だ。疑問を覚えるクロームトリムがひとつふたつあるが、贅沢なレザーも用いられ、質感は高い。ラグジュアリーとスポーティの絶妙な境界線上にあり、不便さを強いることなくエキサイティングさを醸し出している。

SF90に似たデザインだが、よりオーソドックスで、エルゴノミクスも優秀。ただし、ステアリングホイールに操作系を集中したフェラーリのレイアウトは、相変わらず扱いにくいことがある。
SF90に似たデザインだが、よりオーソドックスで、エルゴノミクスも優秀。ただし、ステアリングホイールに操作系を集中したフェラーリのレイアウトは、相変わらず扱いにくいことがある。    LUC LACEY

もちろん、好みに合わせて手を入れることは可能だ。アセット・フィオラノ仕様ではカーボン剥き出しのドアパネルや、サイドサポートの高いレーシングバケットシート、アルカンターラのダッシュボードや、ステアリングホイールのLEDシフトアップライトが備わる。タンレザーやアルミを用いた仕様よりかなりスパルタンになるが、296GTBはどちらのアプローチもしっくりくる。

どちらを選んだにしても、リアウインドウ越しの視界はすばらしく良好だ。ドライビングポジションはもう少しステアリングコラムのテレスコピック量がほしかったものの、快適な姿勢をとるのは容易で、常に四輪の正確な位置を直感的に把握できる。

気になる点はふたつ。まず、操作系をステアリングに集中させようとするフェラーリの傾向には、相変わらずいらだちを覚える。とくに、無駄を一切排したアルトゥーラのステアリングホイールを見た後では、余計にそれを感じる。

もうひとつが、室内の収納スペースが少ないことだ。とはいえ、これはスーパーカーの部類に入るクルマであり、SF90にはなかったフロントトランクも備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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