フェラーリ296 詳細データテスト 魅力的なサウンド 比類なきハンドリング 驚異のパフォーマンス

公開 : 2022.12.31 20:25

走り ★★★★★★★★★★

フェラーリのミドシップモデルは、ハイブリッド化によってパフォーマンスを大きく高めたわけではないが、多少ながら向上をみている。じつにわずかなものにすぎないかもしれないが。0-161km/h加速は5.1秒で、これは猛烈に速くアグレッシブなサーキットスペシャルの488ピスタを0.5秒凌ぐタイムだ。

48-113km/hの中間加速は1.9秒で、1000psで4WDのPHEVであるSF90に0.1秒、1200psのブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツに0.2秒遅れるのみだ。つまるところ、中速域の加速性能は、世界最速レベルでもっとも高価な類のクルマが見せていた強烈さが、いまやV6を積むフェラーリのエントリーモデルでも得られるということだ。

中速域の加速性能は、世界最速レベルのハイパーカーにも迫るものだ。ターボユニットとは思えないほど、エンジンのサウンドも魅力的。さらに、攻めた走りをしなければ運転しやすいクルマでもある。
中速域の加速性能は、世界最速レベルのハイパーカーにも迫るものだ。ターボユニットとは思えないほど、エンジンのサウンドも魅力的。さらに、攻めた走りをしなければ運転しやすいクルマでもある。    LUC LACEY

しかも、それは広範囲にわたって一貫している。6速ギアで50km/h程度から300km/hオーバーまで衰えることなく加速し、48-80km/hは3秒ジャスト、209-241km/hはたったの2.6秒だ。この一貫性は、じつにみごとなものだ。

そのパフォーマンスの規模は並外れているが、同じくらいみごとなのが電動化要素との統合ぶりだ。単体で166psを発生する電気モーターは、エンジンとギアボックスの間に配置され、シャープでナチュラルなスロットルレスポンスを生む。

このモーターと、高回転型ターボとのコンビネーションで、296GTBはこれまでのV8フェラーリには期待できなかった、精密でリニアな感覚を得ている。ブースト圧は素早く高まり、しかし爆発的なトルクが勝手に駆動輪を圧倒してしまうことはない。これは、じつに巧みなチューニングを施されたシャシーの電子制御によるところもあるが、過剰に依存することはまずない。

実際、秀逸なトラクションと予測性は、この荒々しいまでにパワフルなフェラーリにおけるふたつの美点だ。しかも、新型エンジンのサウンドは、V6ターボという前提を抜きにしてもこの上なくすばらしい。高周波と過給器の叫びがブレンドされ、まるで自然吸気ユニットのように8500rpmまで回るのだ。

しかしながら、パワートレインのモードをパフォーマンスやクオリファイングに入れて攻めたり、鞭打つように素早いシフトアップをすることがなければ、一般的なスポーツクーペのような運転のしやすさも見せてくれる。ハイブリッドモードでは、必要に応じて電動走行も使用する。

予期せずペースを上げる必要が生じたときに、もう少しスロットルペダルの踏み込みが少なくてもエンジンがかかってくれたら、申し分ないのだが。それが、唯一の不満らしい不満だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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