次期BMW M3 「クレイジー」な制御システム採用、4モーターの高性能EVへ ハート・オブ・ジョイとは?

公開 : 2023.09.21 18:05

・BMW M3の次世代EVモデル、2027年登場か。
・新たな制御システム「ハート・オブ・ジョイ」で際立った走行特性を実現。
・電動化しても「M3」であることに変わりはない、とBMW幹部。

次期M3に搭載される「ハート・オブ・ジョイ」とは何か

長い歴史を持つBMW M3のバッテリーEVモデルが、2027年に登場する見込みである。「クレイジー」なシャシー制御ソフトウェアを採用し、現行モデルを「はるかに上回る」パフォーマンスを実現するとされている。

BMWの開発責任者であるフランク・ウェーバー氏が明らかにしたところによると、次期M3はノイエ・クラッセ(NK)プラットフォームをベースとする次期3シリーズに続いて登場するという。先ごろ公開された同名のコンセプトカーに、その姿を垣間見ることができる。

BMW M3がついに電動化を果たす。(画像は予想レンダリングCG)
BMW M3がついに電動化を果たす。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

ウェーバー氏は記者団に対し、「次のM3はバッテリー・エレクトリックになるだろう」と明かしつつ、現行世代のガソリン車とは「一定期間共存」することになり、またそれは「必要なこと」だと述べた。現在、M3で使用されているS58型直列6気筒エンジンは、2030年以降も生産される予定である。

ウェーバー氏は、新しい制御システム「ハート・オブ・ジョイ(Heart of Joy)」により際立った走行特性を実現し、ガソリンエンジンの不在にともなうキャラクターの喪失を緩和するのに役立つだろうと述べている。

「これは、過去20~30年にわたるわたし達の経験を1つの制御ユニットに集約したコントローラーです。走行性能関連、シャシー制御関連、パワートレイン関連のすべてが1つの制御ユニットに統合されました」

「クルマの制御方法の歴史が、ほとんどこの中に詰まっているのです。ソフトウェアは独自開発です。わたし達は、これで皆さんの好きなドライビング・ダイナミクスが可能になるということをお伝えしたい。『究極のドライビングマシン(BMWのスローガンの1つ)』に興味をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、『ハート・オブ・ジョイ』にはクレイジーな機能が搭載されています」

ハート・オブ・ジョイは、BMWがハイブリッドスポーツカーのi8で初めて採用した「神の手(Hand of god)」と呼ばれる制御システムの後継にあたる。4基のモーター・ドライブトレインをサポートするために開発され、状況に応じて各車輪への電力配分を調整する。ウェーバー氏は、最大1メガワット(1360ps)の総出力を発揮できるとしたが、次期M3の性能目標については言及しなかった。

BMWは以前、i4とM4をベースとした特製のプロトタイプで4モーター・ドライブトレインをテストしていることを明らかにしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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