色っぽい20スポークが良く似合う アルピナD3 S ツーリング 長期テスト(1) 独立時代を締めくくる1台

公開 : 2023.10.22 20:25  更新 : 2024.03.28 07:27

優秀な3.0L直6ユニット+8速AT+四輪駆動

昨今の欧州では、ディーゼルエンジンの人気は落ち込んでいるが、BMWの3.0L直6ユニットは優秀。マイルド・ハイブリッドのおかげで、スムーズにアイドリングストップもこなす。

組み合わされるZF社製の8速ATも、現在のユニットとしてトップクラス。頼もしい四輪駆動システムも備わる。ドライバーの疲労を最小限に抑えつつ、1度の給油で880kmほど走れてしまう。

アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)

英国では、会社からの貸与車両として乗ると税制的に優遇される、プラグイン・ハイブリッドが近年の売れ筋になっている。しかし、D3 S ツーリングと同等のランニングコストへ抑えるには、頻繁に充電を繰り返す必要がある。

1度の移動距離が長く、目的地に充電設備がない場合が多いような仕事をしているなら、マイルド・ハイブリッドが付いたディーゼル・ターボエンジンの方が、まだまだ有利。筆者も、その中に含まれる。

実際、アウトバーンが発達したドイツの場合、アルピナではディーゼルエンジンの方が売れているという。ちなみに日本では、従来どおりガソリンエンジンへ支持が集まっているそうだ。

色っぽい20スポーク・ホイールが良く似合う

D3 S ツーリングは、ダイナミック。超高速域でも安心感が高く、素晴らしい身のこなしを披露する。ノイズレベルは低く抑えられ、重めのステアリングホイールの反応には一貫性がある。

BMW M3 ツーリングとの比較をしたくなるところだが、ディーゼルエンジンということで、今回は考えていない。まったく異なる性格付けだといえ、D3 S ツーリングには、そこまでの敏捷性は与えられていない。

アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)

さて、オプションの20インチ鍛造ホイールには、扁平率が30という薄いピレリ Pゼロ・タイヤが巻かれている。幅はフロントが255、リアが265で、前後重量バランスに優れた四輪駆動のドライブトレインと、よく調和していると思う。

しかし、グレートブリテン島の舗装の管理状態は褒めにくい。視認性が落ちる夜間に、アスファルトの剥がれた穴を通過してしまい、パンクするような勢いの衝撃を何度か経験してしまった。衝撃音もかなりのものだった。

19インチ・ホイールの方が妥当な選択といえそうだが、デザインが5スポークになってしまう。アルピナには、クラシカルで色っぽい20スポークが良く似合う。こんなタイヤの印象も含めて、長期テストでD3 S ツーリングの実力を検証していきたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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