ゼロ開発のシボレー・コルベット C5 ビッグブロック再来といえたC6 アメリカン・スポーツの代名詞(3)

公開 : 2023.11.12 17:45

ビッグブロック再来といえたコルベット C6(2005〜2010年)

2005年に、6代目のC6へモデルチェンジ。だがC2からC3への進化と同様に、シャシーは先代からのキャリーオーバーだった。スタイリングを一新し、技術的な熟成度は増していたものの、C5の流れを汲んでいる。

ヘッドライトは、リトラクタブル式から固定式へ変更。標準ボディでは、全幅はC6の方が僅かに狭い。全長は105mmも縮まり、オーバーハングも短く、全体的にコンパクトに仕上がっている。実際の走りも、タイトさを増している。

ブルーのシボレー・コルベット C5 Z06 ル・マン・コメモラティブ・エディションと、イエローのシボレー・コルベット C6 Z06
ブルーのシボレー・コルベット C5 Z06 ル・マン・コメモラティブ・エディションと、イエローのシボレー・コルベット C6 Z06

C6最大のニュースといえたのが、V8エンジン。スモールブロックのLS3ユニットが6.0Lへ拡大され、ベーシックなモデルでもパワーアップを果たし、C5世代のZ06へ並ぶ速さを獲得した。

高性能モデルが投入されたのは、2006年。それがZ06で、スチール製のフレーム構造を軽量なアルミ製へ置換。幅の広いタイヤを収めるべくボディはワイド化され、カーボンファイバーで成形された。これらにより、88kg軽く仕上がった。

エンジンは、ボアとストロークが増やされたLS7ユニットを採用。排気量は427cu.in、7.0Lへ拡大され、1960年代のビッグブロックの再来といえた。

もちろん単に排気量が大きいだけでなく、モータースポーツの技術を流用し、ヘッド周りにはチタン製部品を使用。プッシュロッドのV8エンジンでありながら、7100rpmという高い回転域まで許容した。

最高出力は512ps、最大トルクは64.8kg-mとたくましく、アメリカン・スーパーカーといえる能力を獲得。これに合わせ、ブレーキディスクも大径となり、6ポッドキャリパーがフロントに与えられている。

快適性でも先代から明らかな進化

コルベット Z06を運転してみると、パワフルさもさることながら、運転のしやすさへ驚く。グレートブリテン島の狭い道でも、印象的なほど親しみやすい。油断するとリアタイヤのトラクションが抜けてしまいそうな、過剰さと背中合わせだが。

発進させて数秒も経てば、扱いやすさで緊張はほぐれる。絶え間なく響くV8エンジンの鼓動で、思わず笑顔になる。乗り心地も柔軟で、快適といっていい。

シボレー・コルベット C6 Z06(2006〜2013年)
シボレー・コルベット C6 Z06(2006〜2013年)

内装はレザーで仕立てられ、オートエアコンが快適な温度を保ってくれる。車内空間にもゆとりがある。長時間の心地良さでも、Z06は先代から明らかな進化を遂げている。

さらに2009年には、Z06の頂点を飾るモデルとして、ZR1もリリースされている。カーボンファイバー製ボディに、初となるスーパーチャージド6.2L V8エンジンが組み合わされ、時速200マイル(約321km/h)の壁をコルベットとして初めて突破してみせた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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