期待を超えた快適性 レクサスRZ 長期テスト(2) 航続距離はレンジ・モードで350km

公開 : 2023.11.04 20:25

レクサス初のバッテリーEV専用モデルとなるRZ 高価格帯のSUVとして充分な能力を備えるのか 英国編集部が長期テストで確認

積算3915km リラックスした自動車移動

筆者がレクサスRZの長期テストを開始してから、2400kmほどを運転したが、徐々に愛着が湧いてきた。豪華で快適で装備は充実。走りの印象も素晴らしい。ここまでの距離を、心地よく重ねてきた。

自動車移動を可能な限りリラックスしてこなせるよう、デザインされたクルマのようだ。その実現のために、レクサスは細部まで気を配っていることを、時間の経過とともに実感している。

レクサスRZ 450E タクミ(英国仕様)
レクサスRZ 450E タクミ(英国仕様)

フロントガラスのウオッシャーは、殆ど音を立てることなく噴霧される。サイドウインドウも、ほぼ無音で上下する。その1つ1つが、高級感を引き立てている。7万4000ポンド(約1339万円)のモデルで期待される水準を、超えているように思う。

シートの座り心地も素晴らしい。ファンが内蔵され、暑い日でも汗ばまずに済む。10万ポンド(約1810万円)以下のモデルでは、まず見られない豪華さでもある。13万ポンド(約2353万円)以上の、ランドローバーレンジローバーにも引けを取らないだろう。

14インチのインフォテインメント用タッチモニターも、表示は鮮明。クラストップには選ばれないとしても、高級感あるRZの車内の雰囲気を乱すようなことはない。

実際のところ、インフォテインメント・システムの使い勝手に改善の余地はあるだろう。最近は、アンドロイド・オートを起動させ、スマートフォンの機能を利用することが多くなった。カーナビは特に。

少々過剰な運転支援システムのアラーム

筆者が何より高く評価しているのが、RZのドライブフィール。まさに、リラックスした自動車移動を体現している。ステアリングホイールには好ましい重み付けがあり、穏やかな乗り心地が終始保たれる。シャシーに施されたファインチューニングを理解できる。

後輪操舵システムが備わり、狭い駐車場での取り回しも想像以上。小回りが利き、ふた回りくらい小さいモデルのように扱える。

レクサスRZ 450E タクミと筆者、ウィル・リメル
レクサスRZ 450E タクミと筆者、ウィル・リメル

2024年後半には、ステアバイワイヤ・システムのワンモーショングリップも選べるようになるという。ステアリングホイールは操縦桿のような形状になり、150度傾けるだけで目一杯タイヤの向きを変えることができる。

既にAUTOCARではそのプロトタイプへ試乗しているが、非常に好印象だった。これから電動SUVの購入をお考えなら、忘れたくないトピックといえる。

RZの全体的な印象は素晴らしいものの、いくつかの気になる点は存在する。まず、前回も触れたとおり、運転支援システムのアラームは少々過剰だろう。

センターラインへ少し接近しただけで、車線維持支援システムは盛大に警告音を鳴らす。もっと優しく、肩を叩くように教えてくれても良いのではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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