【実際に購入 オーナーのレポート】日産リーフを3台乗り継ぎ12年、 6年経った3台目リーフの今

公開 : 2023.11.01 20:25  更新 : 2023.11.01 22:39

長野県の別所温泉にあった共同利用の充電設備

毎月、甲府から温泉地などの観光スポットへ行っています。リーフの走行データを取るのも一つの目的になっており、今年は秋に松茸で有名な別所温泉へ行ってきました。

別所温泉は甲府から北へ約130kmあります。総走行距離は275km、バッテリーは自宅を95%で出発し、別所温泉で37%から91%まで追加充電、帰宅した時は47%でした。エアコンの使用はほとんどなかったので平均電費は8.8km/kWhとなりました。

日産リーフ・別所温泉かしわや本店の普通充電
日産リーフ・別所温泉かしわや本店の普通充電    小林薫

宿泊は北向観音堂の近くにある「上松や」で、EV用の充電設備はない宿でした。調べてみると近くの旅館「かしわや本店」にあったので確認の電話をしました。すると、宿の共同利用になっているので、どの旅館に泊っても無料で使用できると聞き、ちょっと驚き!!早速夜間の充電をお願いしました。温泉地でこのようなことは初めてです。

聞くところによると、2015年の国の事業で、別所温泉に3台の200V普通充電設備が設置されたそうです。その後、その1台を「かしわや本店」で運用管理しており、電気代も負担しています。課金システムなどは使わずに、EV普及に少しでも貢献できればと思い、周辺旅館の宿泊客への充電サービスも提供しているとのことでした。EVユーザーにとってはとても嬉しい話で、小粋な「かしわや本店」に感謝です。

BYDドルフィンへリーフからの乗り換えか?

BYDのEVもいよいよ日本で発売され、9月発売のドルフィンはリーフと同型のハッチバック。日産リーフも3台乗り継ぎ12年、次に乗り換えるEV候補となります。テスラに迫る販売台数のBYDのEVはどうなのか、興味津々で新規オープンまもない甲府店で試乗しました。

現行リーフより優位な点は盛り沢山ありました。
とにかく価格は安い、リーフは値上げしただけにその差は歴然としています。スタンダードモデルは補助金を使うと300万円を切っています。

BYD甲府店で試乗したドルフィン(スタンダード)
BYD甲府店で試乗したドルフィン(スタンダード)    小林薫

バッテリー容量は、リーフと同様に二つのモデルがあり、航続距離は400km/44.9kWhと476km/58.56kWh。スタンダードモデルである44.9kWhの試乗車に乗った時、バッテリーの残量表示68%で走行可能距離は270kmになっていました。40kWhリーフだとほぼ100%の時の表示で、バッテリー容量を比較すると恐るべき航続距離です。

リーフの最大の弱点は、真夏の連続運転に難があることです。しかしBYDのEVにはバッテリーを温度管理する仕組みがあり、夏の高速道路でも安心して乗れそうです。

内装は豪華でサスペンションも柔らか、シートとサイドブレーキは電動となっており、現行リーフより高級感があり完全に勝っています。それに加え、100V外部出力電源オプションがあり価格が4万4000円なのには驚きでした。

しかし、どうしても受け入れられない点もいくつかありました。

ドルフィンの加速はマイルドになっており、それはそれで安定感があり悪くはありません。しかし、それに伴に回生ブレーキの制動力も低くなっており、フットブレーキを多く使うことになります。また、その制動までにわずかなタイムラグがあり、EV特有のレスポンスのいい運転にならない感じがしました。

回生ブレーキが強いと、トンネルの出口などの長い下り坂で、フットブレーキを使わずに下りてくることができます。四方を山で囲まれた山梨では、勾配のある下り坂は多く、とても重要なものです。また、市街地おける交差点などでの停車も、最後にフットブレーキを踏むだけの運転が可能となり、EVによる快適な日常生活となります。

初期型リーフの回生ブレーキも最初は弱く、快適とは言い難いものでした。しかし、4年後に購入したマイナーチェンジした2台目では、強い回生ブレーキとなるBモードが追加され、それからはEV特有のスポーティな運転が出来るようになりました。通常のガソリン車でのエンジンブレーキと同じで、これを多用する人はEVでも強めの回生ブレーキを好むと思います。

もう一つは、地デジやDVDを車内で見ることができないことです。充電待ちなどで欲しい機能で、3台目のリーフではどちらも標準で装備しており、重宝しています。もしHDMIの入力端子でもあれば、チューナーやプレーヤを別途接続すれば使用できますが、それもありません。大きなディスプレイがあるだけに、とても残念でした。

ドルフィンにはリーフにない優位点が驚くほど多くありました。しかしながら、受け入れられない機能もあり、今時点でドルフィンへは乗り換えないことにしました。

多くの方がドルフィンの購入を検討していると思いますが、回生ブレーキと地デジについて良しとするならとてもお買得なEVとなり、優雅なEVライフをもたらしてくれる魅力あるクルマだと思いました。

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    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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