新旧の甘辛ミックス トールマン205 GTi ヒョンデi20 N 期待通りのホットハッチか?(1)

公開 : 2023.11.11 09:45

1.9Lエンジンは202psへ増強 製作に700時間以上

最近のクルマはダウンサイジングの傾向にあるものの、コンパクトクラスではボディサイズの大型化が続いている。小さなi20 Nも、205の横ではだいぶ大きく見える。

あからさまにアグレッシブなラインと、随所に追加されたボディキットによって、i20 Nは高性能であることを自ら主張する。だが、ホットハッチにレッドの差し色が施されるのは、今も昔も変わらないようだ。

ヒョンデi20 N (英国仕様)
ヒョンデi20 N (英国仕様)

トールマン205 GTiの内側は、その見た目と裏腹に、オリジナルと大きく異なる。実は数年前にも同モデルのレストモッドを仕上げていたが、それは同社を創業したクリス・トールマン氏個人による、昔を懐かしんだ非公式のプロジェクトだった。

1.6Lエンジンへライトチューンを加え、ブレーキとサスペンションをアップグレード。甘い記憶のとおりに運転できる、ホットハッチが完成していた。

今回のクルマは、よりシリアス。販売を前提としたモデルで、先述の同社のコンセプトを体現した、究極の205 GTiといえる。

クリスの話では、トールマン205 GTiの製作には、1台当たり700時間以上を要するという。ボディは地金へ戻され、補修の後に再塗装される。インテリアも、完全にリフレッシュされる。

131psを発揮する1.9Lエンジンは、306 GTi-6用のツインカム16バルブヘッドが載せられ、モーテックECUで制御され、202psまで増強。伝説のグループBマシン、プジョー205 T16の1.8Lターボエンジンを模した、カムカバーも与えられる。

クラシックとモダンの甘辛ミックス

足まわりは、ビルシュタインのスプリングとダンパーが組まれ、リアは独自開発のアンチロールバーで強化。フロントのロワアームも、調整式の独自アイテムだ。

フロントアクスルには、クアイフ社製LSDを装備。タイヤは、パイロット・エグザルト2の復刻版、15インチのミシュラン・ヤングタイマーを履く。ホイールは、お決まりのスピードラインが組まれる。

レッドのトールマン・エディション205 GTiと、ホワイトのヒョンデi20 N
レッドのトールマン・エディション205 GTiと、ホワイトのヒョンデi20 N

APレーシング社のブレーキが、丸い穴からチラ見えする。エグゾーストも、オリジナルの見た目を保ちつつ、排気効率を高めたステンレス製。クラシックとモダンの、甘辛ミックスといったところ。

インテリアも、一見すると1990年のプジョー・ディーラーからタイムワープしてきたかのよう。しかし、ステアリングホイールは現代的なアルカンターラで巻かれ、ブラウプンクト社製のステレオユニットは、ブルートゥースとデジタルラジオに対応する。

シートやカーペットは真新しい。集中ドアロックと、盗難防止システムも実装される。サブウーファーも、隠されているという。

車内のハイライトが、メーターパネル。オリジナルのヴェリア社製アナログメーターの見た目を忠実にグラフィックで再現した、モーテック社製液晶モニターが、ドライバーの正面に据えられている。

トリコロールカラーのボタンを押すと、グループBマシン、プジョー205 T16のメーターを模したグラフィックへ切り替わる。i20 Nのメーターパネルもモニター式で高精細だが、ここまで気持ちを刺激することはないだろう。

この続きは、トールマン205 GTi ヒョンデi20 N 期待通りのホットハッチか?(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

トールマン205 GTi ヒョンデi20 N 期待通りのホットハッチか?の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

プジョーの人気画像